写真●山本 健氏 サミーネットワークス 事業推進本部システム部長
写真●山本 健氏 サミーネットワークス 事業推進本部システム部長
(写真:清水 盟貴)

 当社の主力事業は、携帯電話向けのコンテンツ配信である。エンドユーザーにサービスを提供するためには、システムを安定稼働させることが最も重要だ。

 だからこそ、プロであるITベンダーの全面的な支援が欠かせない。当社はまだ若い会社で、システム部門のITスキルもまだまだ高いとはいえないといった事情もある。

 ITベンダーに対する期待が大きいせいか、がっかりすることがある。以前、新しいシステムの構築を任せたITベンダーは、開発作業には熱心に取り組んでいたのだが、システム運用については、あまり真剣に考えていないように見受けられた。

 というのも、システムが動いた後の運用体制についての提案がなかなか出てこなかったからだ。運用体制を整えてから、システムを稼働させなければトラブルが起こりやすい。「このままでは、システム障害に迅速に対応できない」と考え、このITベンダーに相談してみた。

 すると、この会社の技術担当者は「指示がなかったので、考えていませんでした」と答えたのだ。こちらの指示がないと動かないという受け身の姿勢で、ソリューションプロバイダと呼べるのだろうか。

 開発を任せたのだから、運用・保守段階で実践すべきことも考え、提案するのがプロだろう。作ることばかりに頭がいって、開発後の業務を軽視しているとしか思えない。

 ほかにも、こんなことがあった。社内のWebサーバーに障害が起きた時に、サーバーを冗長化していなかったことが判明した。当社のチェックが甘かったと反省している。だが、このシステムを担当していたITベンダーを信頼していたこともあり、実態を知ってがく然としたことを覚えている。

 このITベンダーに、障害対策に不備があった理由について聞いたところ、「低コストで短期開発するという要求に応えるには、そこまで手が回らなかった」と弁解した。システムの信頼性を確保できないということが予測できていたのなら、前もって説明してほしかった。

 当社がコストを抑えたいことは事実だが、信頼性を犠牲にするのはもってのほかだ。ユーザー企業が何を求めているのかをもっと考え、突っ込んで提案してほしい。我々の最初の要求をそのまま受け入れるのではなく、相手がユーザー企業であっても意見する気概を持ってもらいたいものだ。

 これら以外にも、ITベンダーに対する注文はある。最近、ITベンダーの営業担当者が当社を訪問してくることが増えたが、勉強が不足していると感じる。

 よくあるのは、当社の事業内容を調べもせずに訪問してくるケースだ。当社の会社概要くらいはWebサイトで簡単に調べられるだろう。

 当社の事業内容や組織体制、拠点数ぐらいは予習しておくべきだ。優秀な営業担当者なら、当社のサービスを携帯電話で実際に利用してみて、サービスの感想や改善点を言ってくるのではないだろうか。

 きついことばかりを言ってきたが、これもITベンダーへの期待が大きいからこそだ。ITベンダーとのパートナーシップが崩れれば、当社のビジネスは立ち行かなくなる。今後も、ソリューションプロバイダには高いITスキルを求める。

 その代わり、ビジネスや業務に関する知識については、当社がITベンダーにアドバイスする。互いの強みと弱みをさらけ出し、信頼し合えるパートナーとして良好な関係を築けるITベンダーを求める。(談)