ディー・エヌ・エーのCIOである守安功 取締役ポータル・コマース事業部長

 携帯電話向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で最大の会員数を誇る「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー。同社のCIO(最高情報責任者)に相当する守安功取締役は、“モバゲータウンの父”というべき存在である。

 守安取締役はデータベース製品大手の日本オラクルでシステムエンジニアを務めた後、1999年に設立間もないディー・エヌ・エーに入社。エンジニアとして入社したが、指示されたものを作るだけで満足するタイプではなかった。担当するオークションサイト「ビッダーズ」の使い勝手を改善するにはどうすればよいかを日ごろから考え、アイデアを思いつくと夜中でも出社してプログラムを組んだ。翌朝に同僚らから「また新しい機能が加わったね」と賞賛の言葉をかけられることにやりがいを感じていた。

 その後、サービス企画やマーケティング、社内の経営企画部門などを経て、モバイル事業の責任者に就いた。立場が変わってもアイデアを練る意欲は衰えなかった。2005年夏ごろ、パソコン向けSNSの利用者急増や、オンラインゲームのアイテム課金の売り上げ動向に注目。「当社にも取り込めるのではないか」と、モバゲータウンのアイデアを思いついた。同氏の案を、CTO(最高技術責任者)相当職である川崎修平取締役ら5人のメンバーが短期間で形にした。

 部下のエンジニアたちにも頻繁に「命じられなければ作れないという意識では困る」と説いている。部下がシステムを作った際は「なぜこうしたのか」と意図を尋ねる。使い勝手を考えながらプログラムを組む姿勢を身につけてもらいたいからだ。顧客目線で使い勝手が悪いと感じた点は容赦なく指摘する。こうしたやり取りをしながらエンジニアを育成している。

 守安取締役は、社内のルール作りにおいても力を発揮している。「組織のルールを守ることは大切だが、ルールが誤っている場合は変えるべきだ」が持論。組織で定めたルールでも、会社を悪い方向に導くと思えば、南場智子代表取締役社長ら、ほかの経営陣に遠慮せず意見する。

 その姿勢は「時にはうざったいと感じることもある」と南場社長をして言わしめたほど。しかし「会社を発展させるにはどうしたらよいか」という視点がぶれないからこそ、ほかの経営陣からも一目置かれている。

Profile of CIO

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経ビジネス

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テッククランチ日本語版
仕事柄、インターネットの海外最新動向のチェックは欠かせません。同サイトは日本語で手軽に読めることもあって重宝しています

◆ストレス解消法
・お酒が好きな部下を連れてよく飲みに行きます。お酒を飲んでわいわい言いながら、部下に注文を付けることも時々あります

■変更履歴
本文中5段目に「守谷取締役」とありましたが、正しくは「守安取締役」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/02/09 21:00]