エンプレックスの中村氏は,コスト勘案選定ポイントとして「サポート体制」を重視し,「サポート時間の長さと内容をチェックする」と語る。データセンターによっては,24時間365日電話で対応してくれるところもあれば,土日はメール対応のみといったところもあるが,「システム障害が発生しているときに,いつ返事が来るか分からないメール対応では仕事にならない」(中村氏)からだ。

 外資系企業の日本法人の場合,日本語以外の言語で対応してほしい場合もある。そこでKVHでは,同社のデータセンターに24時間365日,日本語と英語が話せる担当者を常駐させている。同社の市川秀幸氏(マネージド・サービス本部 コロケーション&ファシリティ プロダクトマネージャー)は,「外資系企業以外に,海外展開している日本企業からのニーズも高い」と語る。

 サーバーの運用をデータセンター事業者に任せる場合,イントリーグの永井氏は「サービス・メニュー」を見て,「細かくメニューが用意され,自由に組み合わせられるかどうかを調べる」。サービス・メニューが細かく分割されていればいるほど「必要なサービスだけを選択でき,その結果ムダなコストを抑えられる」(永井氏)ためだ。

 ではデータセンターのサービス・メニューにはどのようなものがあるのか。複数のデータセンターへの取材を基にまとめたのが図4だ。サーバーの電源オン/オフなどの基本サービスから,システムによるサービス監視,バックアップ・データの世代管理,フルアウトソーシングと続く。サービスが充実すればするほど,データセンター側の手間が増えて高コストになる。

図4●サービス内容とコストの関係<br>手厚いサービスは自社のITエンジニアの作業量を減らせるものの、コスト負担が伴う。自社で負担できるコストを勘案してサポート内容を決定する必要がある
図4●サービス内容とコストの関係
手厚いサービスは自社のITエンジニアの作業量を減らせるものの、コスト負担が伴う。自社で負担できるコストを勘案してサポート内容を決定する必要がある
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 ソフトバンクIDCの中山氏が「最近利用が増えている」と指摘するのが,セキュリティ機器やロードバランサーの運用を代行するサービスだという。これらのサービスの有無を重視するカカクコムの中島氏は,その理由を「ネットワークの専門知識を持ったITエンジニアは多くない。いたとしても24時間監視は難しいし,コストが高くつく。ならばデータセンター事業者に任せた方が24時間監視してくれるし,コストも安い」と説明する。