CRM(顧客情報管理)パッケージ販売やパッケージを使ったASP事業を手掛けるエンプレックスは,ASPサービス用の自社サーバーをデータセンターに設置している。データセンターを選定する際に同社が強く意識したのが「セキュリティ」,それも物理的にデータセンターへの侵入を防ぐ仕組みだったという。「ASPサービスで提供するCRMシステムには,顧客企業の持つ個人情報が多く含まれる。セキュリティの事故があれば企業の存続にかかわる」(執行役員 中村幸弘氏)からだ。

 とはいえ,どのような設備があればセキュリティが十分といえるかは判断が難しい。そこで中村氏がデータセンターを選定する際に設けた基準が「ISMS(Information Security Manage-ment System)やPマークといったセキュリティ関連の認証を受けているデータセンターに絞り込む」ということだった。その上で,生体認証やICカードといった仕組みに注目する。

 データセンターにセキュリティの高さを求める声はエンプレックスに限らない。富士ソフトの柳英雄氏(アウトソーシング事業本部 本部長)は「セキュリティの高さは,多くのユーザーが選定ポイントに挙げる」と語る。最近のトレンドは物理的な侵入防止装置で,同社がデータセンターに設置したのが「共連れ防止装置」だ(写真1)。これは,データセンターに入れるICカードを持った人を,確実に1人ずつ入室させる設備である。手前と奥の二つのドアで挟んだ部屋を設置し,1人が入ると手前のドアが閉まる。1人しか入っていないことをセンサーや監視カメラで確認してから,奥のドアを開けるわけだ。柳氏は「セキュリティの充実を求めるユーザーの声に応えて,設置に踏み切った」と語る。

写真1●侵入を防ぐ「共連れ防止装置」
写真1●侵入を防ぐ「共連れ防止装置」
手前と奥の二つのドアで挟んだ部屋を設置し、不正に2人同時に入室する「共連れ」ができないようにしている