選定ポイントの二つ目が「耐災害性」である。災害に強いかどうかの目安は,「地震にどれだけ耐えられるか」と「設備は二重化されているか」に着目する。

 一般に建築物の構造には,地震の揺れに耐える「耐震」,柱や梁の中に設置した制震部材で揺れを抑える「制震」,積層ゴムやダンパーによる免震装置で揺れを抑える「免震」がある。データセンターの選定なら,最低でも制震,可能ならば免震が望ましい。耐震だと建物は倒れなくても,揺れによって内部のサーバーが倒れる場合があるからだ。一方,制震や免震ならば,サーバーは倒れにくい。イントリーグの永井氏は「データセンターの具体的な構造もチェックしておくべき」とアドバイスする。

 データセンターの設備をチェックする場合のキーワードとして二重化を挙げるのは,先述の前澤化成工業だ。同社のサーバー・ルームは「電源装置や空調設備が二重化されていなかったため,故障した場合にシステムが停止する恐れがあった」(前澤化成工業の伊奈氏)。そこで同社はデータセンター選定に当たり,二重化の対象として,変電所からデータセンターまでの電力線,電源装置,UPS,空調設備までチェックしたという。

 設備というと,最近ではデータセンターの設備の充実度合いを表す指標として「Tier(ティア)」という言葉が使われることも多い。米国のUptime Instituteが策定したもので,電源や空調の冗長化の度合いによって,レベルの低いIから高いIVのランクまでを定めた指標である。高いランクのデータセンターは設備が充実しているが,Tierは地震を想定した基準がないなど,日本の状況を反映しているものではない。国内のデータセンター選定では参考程度にすべきだろう。