基本選定ポイントの一つ目が「場所」である。データセンターを自社のサーバー・ルームの代わりと考えると,自社オフィスからの近さ,つまり場所が重要になる。

自社オフィスに近いかどうか

 場所を重視する1社が,外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける,外為どっとコムだ。同社はデータセンターを選ぶ際に,オフィスからの近さを選定ポイントの一つとし,東京・新橋の本社から車で15分の位置にあるデータセンターに,FX事業を支えるサーバー300台を設置した(図3)。

図3●データセンターはオフィスに近い方がいい<br>外為どっとコムは、自社オフィスから車で15分の位置にあるデータセンターを選択した。システム担当者がデータセンターに頻繁に出向いたり、障害発生時でもすぐに駆け付けられたりする必要があるからだ
図3●データセンターはオフィスに近い方がいい
外為どっとコムは、自社オフィスから車で15分の位置にあるデータセンターを選択した。システム担当者がデータセンターに頻繁に出向いたり、障害発生時でもすぐに駆け付けられたりする必要があるからだ
[画像のクリックで拡大表示]

 同社の広瀬和由氏(システム一部 部長)は,「システム部門のITエンジニアは週に何度もデータセンターに行くので,オフィスから遠いとそのぶん作業時間が減ってしまう。障害発生時に復旧させるまでの時間も長くなる。オフィスに近いことは必須条件だった」と説明する。

 では,どのくらい近ければいいのか。取材では,自社オフィスから30分以内と答えるユーザー企業が多かった。実際,オフィスからの近さにこだわるユーザー企業は外為どっとコムに限らない。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)はユーザーのニーズに応える形で2008年10月,都心の東京・目白坂にデータセンターを新設している。

 また,データセンター事業者であるTISの渡邊進氏(営業推進本部 アウトソーシング企画部 統括マネジャー)は,関西に拠点を持つ企業にリサーチしたところ,「オフィスから近い場所にデータセンターがある方が好ましいという結果になった」と話す。そこで同社でも大阪・心斎橋という都心部にデータセンター「TIS大阪第2センター」を2008年12月に新設した。