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1. BPELを使った業務アプリケーションの開発に取り組む 2. 設計ノウハウ不足や,それによる性能低下などの問題が発生 3. ノウハウの共有とDBチューニングの工夫などで乗り切る |
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三菱UFJフィナンシャル・グループの情報システム会社,UFJISは2006年から,ビジネス・プロセスの記述言語「BPEL(Business Process Execution Language)」を使ったアプリケーション開発を進めてきた。対象は,グループ会社の勘定系以外の業務アプリケーション全般である。2008年10月までに,会議室予約管理や稟議決裁,受発注など15種類のUFJIS社内の業務アプリを稼働させた。
UFJISが業務アプリの開発にBPELを採用したのは,業務に伴うシステムの処理フローをアイコンによってビジュアルに設計できるからだ。アイコンであれば,「ITエンジニアが多少の説明をするだけで,業務担当者と一緒に業務の流れに沿ってシステムの処理フローを開発画面で確認し修正できる」(BPELによる開発プロジェクト・チームを推進してきたITプロデュース部 部長 千貫素成氏)。これは,仕様の抜けや漏れをなくしたり,業務担当者と合意形成したりする上で大きな効果を発揮するという。
UFJISは従来,アイコンを使ってビジュアルに開発するそうした方式を,パートナーのエンジニアの協力を得ながら「Lotus Notes」を使って実践してきた。ところがこの数年,Notesの開発に長けたエンジニアを外部調達するのが難しくなってきた。そこで将来的な普及を見込み,BPELの採用を決めた(図1)。
BPELを使った業務アプリの開発は同社にとって初めてだったこともあり,チームは,基盤整備から設計,テストまでの開発工程を通じて,大きく四つの問題に直面した。それは,(1)不慣れなアーキテクチャの採用による「品質や開発効率の低下の恐れ」,(2)BPELソースを記述する「設計ノウハウの不足」,(3)開発ツールに対する「BPELソースのサイズ超過」,(4)詳細なログ取得が原因の「大規模アプリでの性能低下」というものだ。
UFJISのチームは,試行錯誤を繰り返したり工夫を凝らしたりすることで,これらの問題を乗り切った。その軌跡を順に見ていこう(図2)。