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情報システム

問題解決の軌跡

日経SYSTEMS

現状把握が足りず計画に遅れ サブシステム開発で切り抜ける

ファンケル

2009/03/25
安東 一真=日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2008年10月号  pp.102-107
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
1. 倉庫管理システム開発の遅れと,ICタグの読み取り精度で悩む
2. サブシステムの開発で,遅れを最小限に抑えることに成功
3. ICタグは,1万回の動作試験と読み取りの工夫で目標精度を達成
プロジェクト・マネージャの永坂順二氏
プロジェクト・マネージャの永坂順二氏
情報システム担当の植松宣行氏
情報システム担当の植松宣行氏

 「今ごろになって,こんなに仕様が膨らむとは」─。2007年11月,ファンケルの物流センター統合プロジェクトの責任者である永坂順二氏(ファンケル カスタマーサービスユニット物流推進グループ グループマネージャー)は焦っていた。同社の物流業務を1カ所に集約する新・物流センターにおいて,倉庫管理システムの開発が予定より2カ月も遅れていたからだ。原因は想定以上の要件の増大。このまま概要設計フェーズが延びれば,ますます稼働が遅れてしまう。

 同じころ,新・物流センター内のコンベア・システムの開発を請け負っていた物流機器メーカーのダイフクも苦戦していた。コンベア上には,高速移動するICタグを読み取るシステムを新たに構築する必要があった。しかし,同社にとっても初めての試みで,求められた100%の読み取り精度をなかなか達成できずにいた。

 ファンケルが新・物流センターにおける倉庫管理システム開発の遅れにどう対応したのか,ダイフクがICタグ・システムの構築にどう取り組んだのか,両社の軌跡を追ってみよう。

8カ所の物流拠点を統合へ

 化粧品や健康食品のメーカーであるファンケルの物流センター統合プロジェクトが立ち上がったのは2006年3月のこと。同社の倉庫は業務の拡大とともに8カ所に増え,大きく四つの課題を抱えていた(図1)。

図1●ファンケルの物流業務が抱えていた課題と対策
[画像のクリックで拡大表示]

 1番目の課題は,同じ商品が複数の倉庫にあり,倉庫間で商品を融通する配送コストがかかっていた点。化粧品,健康食品,雑貨などの商品が,通信販売,自社店舗,小売り(コンビニエンス・ストアやスーパー),海外という流通チャネル別の倉庫に混在し,8カ所に分散していた。このため,通販用の倉庫で在庫が切れると,小売り用の倉庫から補充するといった配送コストがかかっていた。

 2番目は,異なる種類の商品を受注したとき,複数の倉庫から別々に商品を発送する必要があった点。顧客から見れば,複数回に分けて商品を受け取らなければならない。

 3番目は,倉庫における物流作業の効率と精度が低いという点。紙の伝票に基づく作業のためミスが多く,「商品を間違って配送してしまう誤配率は,業界平均の0.03%を上回る0.04%」(永坂氏)に達していた。

 最後の課題が,物流業務や物流システムを一部アウトソースしていたこと。「物流業務がブラックボックスになり,コスト構造や改善点が分からない」(永坂氏)のが悩みだった。

 これらの課題を解決するため,同社は8カ所の倉庫を1カ所に統合して新・物流センターを建設し,ブラックボックスだった倉庫管理システムも新たに開発することに決定。さらに,誤配率改善の抜本的な解決策として,ICタグの導入にも踏み切った。

>>要件定義とICタグで問題発生
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