UQコミュニケーションズ(以下UQ)はモバイルWiMAXによる試験サービスを2月末に開始する予定である。東京23区と横浜,川崎市を皮切りに,夏ころまでに東名阪に拡大する計画だ。

 ただ,関係者によると基地局工事は遅れ気味。また,2.5GHz帯という周波数の特性上,屋内浸透度に苦慮しているという。そうした中,発表されたのが公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」である。東海旅客鉄道(JR東海)が2008年12月に発表した東海道新幹線内ならびに東京-新大阪間17駅の待合室での公衆無線LANサービス提供事業者として,UQが名前を連ねたのだ。詳細は2月上旬開催予定の説明会時に公表するとしている。当初,東海道新幹線内ではモバイルWiMAXサービスが使えないため,その補完の意味もあるという。

 JR東海の無線LANインフラは,NTTブロードバンドプラットフォームが提供。UQはそのインフラを“借りて”サービスを展開する。一方,モバイルWiMAXが使う2.5GHz帯は,免許条件としてMVNO(仮想移動体通信事業者)への開放が義務化されている。ある通信事業者幹部は,「無線データ通信に関しては,UQのMVNOとしても展開したい」と述べている。

 免許不要帯域を使いスポット展開する公衆無線LANと,免許が必要で移動性を考慮する携帯電話やモバイルWiMAXとを単純に比較できないが,通信方式が違っても,ノート・パソコンなどによる無線データ通信の利用イメージに大きな違いはない。ユーザーにとっては,インフラを保有する事業者同士が互いにエリア補完することによるメリットは大きい。UQのサービスはその一つの例となりそうだ。