日本製の無線LAN機器は海外で使ってもいいの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
小貫 義則
テレコムエンジニアリングセンター
審査部 担当部長

 海外への出張や旅行に無線LAN対応のノート・パソコンを持っていき,空港やホテルで通信する人は多いと思います。でも,日本から持ち出したノート・パソコンの無線LAN機能は,海外で使ってもいいのでしょうか。

 ノート・パソコンが搭載する無線LAN規格は,IEEE(米国電気電子技術者協会)の802委員会が策定しています。同じ無線LANの規格を採用しているなら,世界中どこでも利用できるはずです。

 ところが実際はそうではありません。無線LAN機器を海外で利用するには,その国の基準に合致していることが必要です。例えば米国で利用する場合,メーカーなどはその機器に対して,米国の電気通信認証機関(TCB)の認証を取得していなければなりません。

 日本国内で利用する無線LAN機器は,テレコムエンジニアリングセンターなどの登録証明機関が認証作業等を行っています。ただし,日本の認証が有効なのは,日本国内で利用する場合だけです。外国でも利用できるようにするには,その国の認証も取得しなくてはなりません。

 ということで,自分のノート・パソコンの無線LAN機能が海外で使えるかどうかは,メーカーがどの国の認証を受けているかによります。メーカーのWebサイトの製品説明を読んだり,問い合わせたりするとわかるでしょう。

 ちなみに2008年1月1日に,電気通信機器などの認証について,新たに米国との相互承認協定(MRA)が発効しました。2008年1月時点で実施している認証機関はありませんが,この協定により,日本のメーカーがMRAに基づいて承認された日本の認証機関に申し込めば,米国で利用する無線LAN機器などの認証を取れるようになりました。今後,米国で利用できる日本製ノート・パソコンなどの無線LAN機器が増えることが期待されます。