紙をなくす――。印刷関連のコストを減らす究極の手段はこれだ。だが、言うはやすし。

 紙の書類に慣れた社員のマインドを変えるのは一筋縄ではいかない。印刷禁止のルールを策定したり、紙がなくても仕事ができるインフラを整備するだけでは紙はなくならない。それぞれの社員や部署が書類を置くスペース自体に制約を設けるのがよいだろう。

 リコー販売は共有スペースに書類フォルダを収納する際、事前の申請を義務付けている。内容だけでなく厚さをセンチメートル(cm)単位で申請するのがポイントだ。

図●リコー販売は共有キャビネットに紙の書類を保存する際に「厚さ」を申請させる
図●リコー販売は共有キャビネットに紙の書類を保存する際に「厚さ」を申請させる
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 社員1人当たりの保管スペースを制限して、それを超える申請は原則として認めない。保管期間が過ぎたフォルダや重要度の下がったフォルダを廃棄させる。各社員には厚さを測る巻き尺を配るといった念の入れようだ。

 一方で紙なしでも仕事ができる環境を整える。例えば各会議室にはプロジェクタを装備して紙の配布資料を減らす。文書を電子化した共有するシステムも導入する。

 一連の工夫が功を奏して、リコー販売は紙の大幅削減に成功した。同社の本社を例に取ると、部署で保管しているファイルの厚さが計380mから210mに、個人分は560mから250mまで減った。その分の印刷コストだけでなく、保管コストが減るという効果もある。