遅延時間やネットワーク稼働率の保証などの安心感が受けて企業ネットワークの主流となったIP-VPN。だが、帯域を増やしていくとお金がいくらあっても足りない。そこで廉価版のエントリーVPNとの併用を検討したい。
エントリーVPNは個人向けのADSLや光ファイバ(FTTH)をアクセス回線に利用する。ベストエフォート型とすることで料金を抑えた。すでにIP-VPNを使っている企業が情報系システムやインターネットへのアクセス増で帯域を増やす際に有効な手だてとなる。
NTTコミュニケーションズのサービスを例に説明しよう。IP-VPN(イーサタイプ)の帯域を1Mビット/秒から10Mビット/秒に増やすと、毎月の料金は11万250円(税込み、以下同)から37万8000円に跳ね上がる(回線終端装置の使用料やアクセス回線料を含む)。ところがアクセス回線に光ファイバを使うNTTコムのエントリーVPNなら最大100Mビット/秒で月2万5620円(回線終端装置の使用料やアクセス回線料、屋内配線利用料を含む)で済む。
センターと2拠点を結ぶネットワークに通信速度1Mビット/秒のIP-VPNと同100Mビット/秒のエントリーVPNで構成した場合の月額料金は40万7610円になる。IP-VPNを10Mビットにするとき(113万4000円)の半分以下に抑えられる計算だ。
もちろんIP-VPNとエントリーVPNではサービスレベルや品質に違いがある。高い信頼性を求められる基幹系のデータ通信はIP-VPNを利用し、情報系はエントリーVPNといった使い分けが現実解だろう。