トナー代を節約する奥の手が出力データの「間引き」だ。若干コントラストは弱くなるが文字やグラフが判別できる状態を維持しつつ、トナーの使用量を減らすユーティリティソフトを複数のベンダーが開発・販売している。

 ソフトが印刷データを横取りし濃淡を間引く処理をした上でプリンタに渡す。画像や文字の階調を落とすことでトナーの量を節約する。白黒であればグレースケール化がこれにあたる。全体に縦横の白い画像をかぶせる手法もある。

 最近は、ほとんどのプリンタメーカーの純正ドライバが「トナー節約」の設定を備える。だが節約するかしないかの2段階。一方、専用ソフトは削減率を細かく設定できる。

 スプライン・ネットワーク製品は0~50%の間で1%単位で削減率を設定可能だ。写真などを出力する際は削減率を控えめにするといった使い分けが可能だ。

 削減率を最も厳しい50%にすると、1000人の企業で年1560万円ものコストを削減できるという。カラー印刷1枚当たりのトナー代を15円、社員1人当たりの年間印刷量を2400枚とするとトナー代が半分の1800万円になると試算する。1000ユーザーの場合の年間ソフトライセンス料として1人当たり2400円(税込み)、1000人で240万円かかるのを差し引いて1560万円の節約という計算だ。

図●トナー節約ユーティリティソフトの印刷例
図●トナー節約ユーティリティソフトの印刷例
「トナーセーバー」の場合
表●トナーの使用量を節約するユーティリティソフトの例
トナーセーバーは1年間のライセンス料金。他は売り切り
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表●トナーの使用量を節約するユーティリティソフトの例<br>トナーセーバーは1年間のライセンス料金。他は売り切り

 トナー節約ソフトを使うときは、プリンタメーカーとの保守契約形態に気をつけたい。「出力1枚当たりトナー代込みでいくら」といった契約だと導入する意味がない。