印刷関連コストを削減する上で意外と効くのはプリンタ台数の削減。ユーザーの利便性は確かに落ちるが、それを補って余る効果が得られる。

 まずユーザーの手近にプリンタがなくなるので無駄な出力が減る。「31:ICカード認証で『とりあえず』根絶」で紹介した大和証券グループは本社移転を機に、従来のオフィス比で人数当たりのプリンタ数を半減させた。

 具体的には2500平方メートルの1フロアに3カ所の印刷コーナーを配置し、それぞれ3台を置いた。ほとんどのユーザーは移転前に比べてプリンタまでの距離が遠くなったので、「とりあえず印刷しておこうが減った」(江口部長)。ICカード認証との合わせ技で紙の出力量の半減に成功した。

 当たり前だがプリンタ台数を減らすと保守費も減る。大和証券は事前に社内の調査を実施したところ、プリンタの稼働率が5%程度にすぎないことを把握した上で台数の半減に踏み切った。

 管理負荷の軽減も期待できる。1カ所に複数のプリンタを集約するとコピー用紙やトナーのストックを管理しやすくなり、在庫が減る。消耗品がなくなって、予備を探し回るといったユーザーの無駄な時間もなくなる。