運用コストを削減するには業務のムダ取りが欠かせない。だが運用に関しては、どの作業が無駄かよくわかっていないのが実情だ。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の原田俊彦常務理事は「開発業務に比べて運用保守は数値化や標準化が進んでいない」と指摘する。

 恒常的に運用コストの無駄を省く体質に変革するには現状の運用体制の整理が欠かせない。効果が出るまでには少し時間がかかるが、「急がば回れ」で取り組むしかない。

 システム運用に必要なプロセスや手法のベストプラクティスを体系化した「ITIL」が有力な教科書となる。2007年5月に改訂された最新のバージョン3、最初に運用で提供したいサービスの戦略を練ることを推奨する。次に戦略に合致したシステムを開発。ユーザー部門とのサービスレベルも合意して、運用までつなげる。そして改善活動を持続的に続けるよう説く。

図●ITILを参考にして運用のムダを減らす
図●ITILを参考にして運用のムダを減らす
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 ITILの導入は決して容易ではない。だが、かいた汗は必ず取り戻せる。作業を標準化すれば無駄を省けるし、品質も必ず向上する。