実売5万円前後の超低価格ノートパソコン「ネットブック」。2008年1月の日本上陸以降、個人向け市場で急速に存在感を増している。今秋には東芝やNECといった国内メーカ ーも参入した。
もともとは個人の2台目需要を狙った製品だが、最近は企業でも十分使えるスペックを持つ機種も増えている。これまで20万円前後するのが当たり前だった企業向けノートパソコンからの切り替えも視野に入ってきた。
例えば、日本ヒューレット・パッカードが企業向けと位置付ける「HP Mini」。CPUの処理速度は7~8年前に登場したインテルのノート向けプロセサ程度とかなり劣る。だが、ワープロや簡単な表計算処理なら不足はない。もちろんWebサイト閲覧やメールは難なくこなす。
バッテリ駆動時間は2.3時間と短い。外出先で長時間作業をするような使い方には向かない。だがこれも割り切りよう。ガートナージャパンでクライアントパソコン分野を担当する蒔田佳苗主席アナリストは「工場構内など、ある程度限定された場所では十分に使える」と指摘する。
何と言ってもこれまでの企業向けノートの4分の1という価格は魅力だ。日本HPは各種カスタマイズサービスを用意して企業導入を支援する。HP Miniの標準搭載OSをWindows VistaからXPにダウングレードしたり、顧客が指定したソフトをあらかじめインストールして出荷する。出荷時に企業の資産識別シールを張り付けるサービスも提供する。