無償で利用できるオープンソースソフト(OSS)と聞いて、どんなソフトを思い浮かべるだろうか。OSのLinuxを除けば、Web関連や開発関連のソフトが多いのではないだろうか。Apache、Tomcat、MySQL、PostgreSQL、Struts、Eclipseといったところだ。

 だが、それ以外の分野でもOSSは続々と誕生している。運用管理ソフトや業務ソフトなど、これまでは商用製品を使うのが当たり前と思っていた分野にOSSを使えば、調達コストを大幅に削減する道が開ける。

表●Web関連や開発関連以外のオープンソースソフトの例
表●Web関連や開発関連以外のオープンソースソフトの例

 例えば、運用管理ソフトの「Hinemos」。NTTデータが中心になって開発している国産のOSSで、商用製品に迫る機能を備える。

 例えばジョブ実行・管理やサーバー監視ができる。ジョブの終了状況で後続ジョブの実行を制御できるなど、ジョブを多用する日本のシステム運用環境に合わせた実装がされている。

 商用の運用管理ソフトは「1機能当たり200万円」が相場。一方のHinemosは無償で使える。

 実システムへの導入実績はNTTデータが把握するだけで10件を超える。1台のHinemosサーバーでWebサーバー約100台を運用したり、テラバイト級のストレージを含むサーバー60台、計2000の登録ジョブを運用している実績もあるという。監視機能だけなら10日程度で導入できる。

 OSSのERP(統合基幹業務システム)ソフトもある。米コンピエールが開発する中小企業向けERP「Compiere」だ。販売管理、購買管理、材料管理、会計の各モジュールで構成する。給与と人事はないが、十分実用に耐える。

 ソフト会社のアルマスが中心になって日本語化や日本の商習慣対応を実施した。日本での有償サポートも提供している。年間50万円の基本料金とサポート頻度に応じた料金がかかるが、すでに3社で本番稼働しているという。

 このほかCRM(顧客情報管理)ソフトやBI(経営情報分析)ソフトなどにもOSSがある。現状では商用ソフトに比べてOSSに精通した技術者不足は否めないが、うまく使えば必ずコストダウンはできるはずだ。