「Hello! World」
「なに,その挨拶。新年なんだから,明けましておめでとう,じゃないですか?鶴橋さん」
「いえ,今わたし少しCの勉強をしてるんですけど,プログラミングのね,それでたまたま手にとった本があるんです。ほら小林さん,これ」
「どれどれ。毎日コミュニケーションズの『Rubyで作る奇妙なプログラミング言語』?12月の新刊だよね」

「世の中には,私の知らない変な言語がたくさんあるんですね!例えば見てください,『<>+-.,[]』という8つの命令しかない『Brainf*ck』なんて,何の役に立つんだろう?それからこれ,コードがスペースとタブと改行だけでできている『Whitespace』は,ほら,ここに載ってるこのコードの例」
「うわ,何にも書いてない,ただ真っ白なページだ」
「書かれたコードが,まるでAAで星空を描いたみたいな『Starry』なんてのもありますよ。『INTERCAL』は『既存のどの言語とも共通する要素がない』ことをテーマに作られた言語で,命令として『do』を使うんです。でも,これは『please』や『please do』でもよくて,コンパイルのときにこの『please』の使用頻度によっては『丁寧すぎる』とか『礼儀がなってない』という理由でエラーになってしまうんです!」

「さて,一年の締めくくりの12月のベストだけど,やはり年末ということでお店には普段とはまた違ったお客様が大勢お見えいただいたね」
「カウンターに入っていても,お受けするお客様の感じがいつもと違って,かえって新鮮でした」
「そういうわけでベストの内容も一変。特に年賀状のCD-ROM素材集関係がたくさん入ってきたのは,やはりこの時期ならではの光景だね。売れ行き動向を見る都合上,年賀状の分は別にして集計して順位をつけました。いつものように1位から見ていこう」

「1位が翔泳社『クラウド化する世界』。10月に刊行されて以来,ついに1位です。読者の関心も高いようで,クラウド関連の本もだんだん出てきていますしね」
「年末ぎりぎりになって入ってきた,秀和システムの『Amazon EC2/S3クラウド入門』は,平積みにするなり,すぐに売れ始めたし。やはり,新しい技術に対してお客様が敏感になっているのを感じるね」
「あと,朝日新書でそのものズバリ,『クラウド・コンピューティング』という本が出ましたよね。これもよく売れてます」

「2位が東洋経済新報社の新刊,『ITロードマップ 2009年版』。情報通信技術の5年後を予測するというテーマで毎年刊行され,うちではよく売れている。今年も順調な売れ行きで,こういう書籍は書店としては嬉しいね」
「そしてやっぱりベストに入ってきました,秀和システムの『ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術』が3位」
「出版社では品切れになって重版待ちの本だけど,うちではずっと店頭から切らさずにすんだ。こういう予想していなかったのに売れた本というのは,書店員として気を使うよ」
「売れることが予想できなかったところに,書店員としての問題があるんじゃないですか?」
「無茶いうなよ。出版社だってここまで売れることは予想していなかったんだから」

「4位が日経BP出版センターの『IT産業再生の針路』。これも12月に出たばかりですね」
「著者,田中克己氏の前著『IT産業崩壊の危機』から1年ぶりの新刊だね」
「先回りして言っちゃうと,今回は書名に『ITIL』という言葉がつくのがいやに多くないですか?」
「そうかな。えっと5位が翔泳社の『ITILファンデーション』,6位がソーテック社の『ITIL入門 ITサービスマネジメントの仕組みと活用』,そして10位がトリフォリオの『ITILファウンデーション試験問題集全200問』か。どれも以前からよく売れている書籍ばかりだけど,これがベスト10に入ってくるというのは,やっぱり年末という時期の特殊性かな」
「7位がソフトバンクの『やさしい基本情報技術者講座 2009年版』」
「情報処理技術者試験関係はどれも絶好調。前にも言ったけれど,今年から新しい試験制度になって,受験をされる方たちも刺激を受けているんじゃないのかな」

「8位が技術評論社の『WEB+DB PRESS Vol.48』。今号が創刊8周年になります。9位が先月1位の三笠書房『脳にいいことだけをやりなさい!』」
「あと鶴橋さん,最後に2008年の年間総合売上ベスト3も紹介してよ」
「年間1位は,三笠書房『たった3秒のパソコン術』。2位は技術評論社の『Googleを支える技術』。3位はソーテック社の『ITIL入門 ITサービスマネジメントの仕組みと活用』でした!」
「今年もよろしく!」
注:アルバイトの鶴橋さんは架空の人物です。