写真●米ヘンリー・フォード・ヘルス・システム アーサー・グロス CIO
写真●米ヘンリー・フォード・ヘルス・システム アーサー・グロス CIO

 「巨大プロジェクトではSIerとの緊密な連携が重要になる」。こう語るのは医療機器開発の米ヘンリー・フォード・ヘルス・システムCIO(最高経営責任者)のアーサー・グロス氏だ。税金徴収などを担当する米政府機関、内国歳入庁(IRS)のCIOを長く務めたグロス氏は、IRSのシステム再構築プロジェクトを立て直した経験を持つ。

 グロス氏が再構築で最初に着手したのは、プロジェクトにかかわる多数のSIerを整理し、少数の元請けに発注する体制に改めたこと。加えて、SIerの技術者とIRSのシステム担当者が連携しやすいよう、設計情報や運用の知識をIRSに伝えることをSIerに求めた。この結果、SIerからIRSへの技術移転が進み運用も円滑になった。「運用まで含めて最もコストパフォーマンスの高いシステムになった」と話す。

 日本政府は今、グロス氏のやり方とは反対にシステムの分割発注に取り組んでいる。グロス氏の手法には、参考にすべき点があるかもしれない。