2009年1月8~11日の4日間,米国ラスベガスで世界最大級の家電展示会「International CES」が開催された。キーノートでCEOのSteve Baller氏がWindows 7のベータ版公開を発表するなど(関連記事),この展示会でも米Microsoftは大きな注目を集めた。Windows 7が人々の関心を集める一方で,Windows MobileやZuneといった携帯端末についても注目すべき発言があった。

Take1:Windows 7ベータ版を一般公開

 米Microsoftは2009年1月9日(米国時間),次期クライアントOS「Windows 7」のベータ版について,ISOイメージ・ファイルの一般ユーザー向け無償ダウンロード提供を開始した。同日の午前9時(米国東部標準時:EST)には,ダウンロード可能な状態になっていた。なお,同社はベータ版を先着250万人にしか配布しないため,興味があるならできるだけ早く入手しよう。

 同社は公開前の説明会で,異なるユーザーを対象とする同社の主要ポータル・サイト4つでダウンロード提供を行うとしていた。最新の情報は,Windows 7専用サイトを確認した方がよい。

 さあ,ダウンロードの準備を整えてアクセスしよう。

Take2:MP3プレーヤ市場が「縮小中」とMicrosoft社長が発言

 Microsoft社長のRobbie Bach氏は米Seattle Post-Intelligencer紙に対して1月第2週,MP3プレーヤ市場が「縮小している」と語った。これは同社にとって悪いニュースだ。念のため,その理由を書いておこう。

 Microsoftは数年前,数十億ドルを投じて「Zune」事業を立ち上げ,現在ワシントン州レドモンドの本社に航空機用格納庫サイズの施設を用意し,数え切れないほど多くのZune中毒患者を従業員として収容しているからだ。

 だが,この市場変化をMicrosoftはよいニュースとしてとらえている。Bach氏は「スタンドアロンMP3プレーヤ市場は横ばいか,場合によっては縮小すると思う。その一方で,携帯電話機の機能が増え,バッテリ駆動時間が長くなるにつれ,携帯電話機をモバイル・メディア・プレーヤとして持ち歩きたいと考える人が間違いなく増える」と述べた。

 そればら問題はない。というのも,同社は「Windows Mobile」という名のスマートフォン向けプラットフォームを手がけているのだから。あれ,ちょっと待てよ。本当にそうか?

Take3:「Windows Mobile搭載端末を減らす」とMicrosoft幹部

 Windows Mobileについては,別の同社幹部Todd Peters氏が米New York Times紙に「当社は『自己変革』することでスマートフォン市場の変化(これは言い換えれば『iPhoneの成功』)に対応しようとしており,実はWindows Mobile搭載端末を減らしている」と話した。そのようなことをして,同社にはどのようなメリットがあるのだろうか。

 Peters氏は「搭載端末を減らすことで,もっと集中させたい」と説明した。つまり,同社は端末とWindows Mobileの「一体化」を推進しようとしているのだ。この発言に嘘はないと思う。極端に考えると,同社は端末の自社開発で究極の一体化を実現することが可能だ。さらに,Zune用ソフトウエアの優れたデジタル・メディア機能と使いやすいユーザー・インタフェースをその端末に付加することもできる。

そして,このような端末を「Zune Mobile」と呼べばよい。

Take4:Microsoft副社長は「Zune Mobile」を否定

 ところが,Bach氏はSeattle Post-Intelligencer紙に「自社製端末を作る計画はない」と答えた。「当社のWindows Mobile戦略は,携帯電話機を自社開発する取り組みと異なる。携帯電話機市場において,多様性は欠かせない要素になっていく」(同氏)というのだ。

 この発言でよく分からなくなった。同社のZune Mobile戦略は自社製端末を作る計画でないのだろうか。筆者は,同社が自前の端末を開発するとみている。Microsoftは米Appleに「iPhone」でいいようにやられているからだ。

 Bach氏は「2009年か2010年」になれば「より汎用的かつ一般向けの携帯電話機」に移行するとしている。その頃には勝敗が決まっているだろう。