プラットフォーム分野で2009年に最も注目したいキーワードは「Windows 7」となった。ITpro読者による有効回答2043件のうち,およそ6割から得票した。このアンケートでは毎回Windows OSが上位にランクインするが,今回,Windows 7はランキングの2位に大差をつけ,抜群の注目度を示した。

表1●2009年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード
表1●2009年に注目したいプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=2043)
(有効回答数=2043)

表2●2008年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード
表2●2008年に注目したプラットフォーム分野のITキーワード(有効回答数=2043)
(有効回答数=2043)

 これほどまでにWindows 7が注目される背景には,Windows Vistaの「不人気」も関係しているだろう。Windows XPからVistaへの移行をためらい,次期Windowsへ直接ジャンプしようと考える“Vista飛ばし”の企業やユーザーが多い。およそ1年前のアンケート調査では,勤務先のクライアントPCで「Vistaの導入予定はない」とする回答が半数を超えた(関連記事)。こうした企業/ユーザーが,とりわけWindows 7に熱いまなざしを向けているのではないだろうか。

 さて,肝心のWindows 7だが,2008年10月28日に Professional Developers Conference(PDC)で初披露されて以来,大きな話題を集めている。今年1月13日には,Windows 7の開発者向けバージョン(日本語ベータ版)をダウンロードできるサイトが開設され,ベータ版のインストールを試した記事にも関心が高い。

「デスクトップ仮想化」が躍進

 注目キーワード・ランキングの2位につけた「サーバー仮想化」は,2年ほど前から着実に勢いを増している「仮想化技術」の中核トレンドだ。4位の「デスクトップ仮想化」,7位の「VMware」,10位の「Hyper-V」と合わせて,2009年も引き続き仮想化に対する関心が高い。

 ランキング順位の動向に目を向けると,仮想化技術をベースにしたシンクライアント・システムである「デスクトップ仮想化」への関心が高まっている。2008年に注目したキーワードとしては9位だったが,2009年では順位を5つ上げている。昨年はデスクトップ仮想化製品が相次いで発表あるいは出荷されており,情報ニーズが高まっているためとみられる。具体的には,2008年6月にシトリックス・システムズ・ジャパンが,いよいよXenDesktopの国内出荷を開始。米VMwareも2008年12月に,デスクトップ仮想化ソフトの新版「VMware View 3」を提供開始している。

 一方,これらのソフトをベースに,仮想化したデスクトップPC環境をサービスとして提供する動きもある。ITベンダーがデスクトップ仮想化システムを運用し,それをユーザーがシンクライアント端末から利用する,というサービス形態だ。利用企業は,面倒なクライアントPCの管理業務から解放される。実際にこのようなサービスの提供が始まれば,クライアントPCを「買う」のか,サービスを「利用する」のか,PCの調達に大きな影響を与え得る。

東京都「環境確保条例」の改正がグリーンITを加速

 2009年に注目したいキーワードの第3位には,根強い情報ニーズがある「グリーンIT」が来た。昨年は洞爺湖サミットに関連してたくさんの話題を振りまいたが,今年はより現実的・実務的な面でグリーンITを論じる企業が増えそうだ。というのも,東京都の「環境確保条例」が改正され,都内の約1300の大規模事業所(データセンターを含む)は,2010年度から温室効果ガス排出の総量削減が義務づけられることになったからである。東京都は,「データセンターにもオフィスと同じCO2排出量の“削減率”を求めていく」としている。対象事業所は,これからの1年余りで具体策を詰めなければならない。

 グリーンITに関連して,「省電力プロセサ」が第8位につけた。最近のプロセサはどれも省電力を意識して設計されているが,主としてサーバー用プロセッサの省電力機能や,ネットブックPC向けのインテル「Atom」などに,高い関心があるものと思われる。