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日経エコロジー

トヨタが狙う“第2のプリウス”、「小さい」環境価値は根付くか

エコカー

2009/01/06
金子 憲治=日経エコロジー
出典:日経エコロジー 2008年12月号  11ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
写真●トヨタの超小型の新車「iQ」
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 トヨタ自動車が2008年11月に発売した超小型の新車「iQ(アイキュー)」は,全長が298cmと軽自動車よりも短い。一見すると2人乗りに見えるが,4人乗れる。1000cc級エンジンで軽自動車をしのぐ燃費を実現した。

 「ハイブリッド車『プリウス』はエンジンを革新した。『iQ』はパッケージング技術の革新で、新たな環境ブランドを目指す」。iQの開発責任者である中嶋裕樹チーフエンジニアは、小さな新型車をこう位置付ける。

 「パッケージング技術」とは、限られた車体の中に、安全で快適な車内空間を作り出す、車全体の設計・デザインのノウハウを指す。軽自動車でも後部座席は子供がやっと、というイメージがあるなか、iQは軽自動車よりさらに全長が約40cm短い車体で、軽自動車に劣らない後部座席の空間を確保した。

 中嶋チーフエンジアは、「iQのパッケージング技術を応用すれば、『ヴィッツ』を3列シートにさえできる」と話す。ヴィッツは1000cc級エンジンを搭載するトヨタの大ヒット車。この5人乗りのコンパクトカーを、ミニバンのように3列シート(8人乗り)にできるというのだ。iQのボンネットを開けるとエンジンを斜めに傾けて固定しているのがわかる。また、エアコンユニットを構造配置から設計し直し、約20%体積を減らすなど、小さな車体空間を極限まで有効活用した。

表●コンパクトカーのスペック比較
表●コンパクトカーのスペック比較

小さいが高価、で売れる?

 iQは、車内空間の確保に加え、後方を含め9つのエアバックを標準装備し、遮音性のあるガラスで静粛性を高めるなど、安全性と快適性に配慮している。また、高効率の新型CVT(無段変速機)を開発、車内照明に省エネ性の高いLED(発光ダイオード)を採用するなど、軽自動車を上回る燃費性能を実現した。

 こうした高機能化により、価格は140万〜160万円(北海道・沖縄を除く)と、同じ排気量1000ccの『ヴィッツ』や軽自動車に比べ、30万〜40万円程度高い。排気量は軽自動車の規格である660ccを超えるため、税制優遇はない。

 iQを見たホンダのある幹部は、「このサイズで税制優遇がないなら、絶対に売れない」と断言する。

 もともとiQは欧州の燃費規制に対応するために開発が始まった。日本市場向けに軽自動車の規格に合わせる余地はなかった。そこで、「マイクロプレミアムカー」というコンセプトで、小さくて環境性が高いことをブランド化する戦略を取った。

 「これまでにないカテゴリーを顧客に育ててもらいたい」との渡辺捷昭社長の言葉は、iQが挑戦的なマーケティング戦略であることを示す。

 今後iQは、省資源・省エネをもたらす「小さい価値」を消費者に訴えていく。消費者意識の革新にも挑戦することになる。

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