JR東日本リテールネットのCIOに相当する山本信也・取締役経営企画部長

 東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅の構内にある売店「KIOSK(キオスク)」とコンビニエンスストア「NEWDAYS(ニューデイズ)」を運営するJR東日本リテールネット(東京都新宿区)は2008年12月現在、店舗システムの全面刷新に向けた準備の最終段階にある。2009年5~9月にかけて、合計で約2000台ある店頭のPOS(販売時点情報管理)レジや発注端末を新型機に入れ替える(関連記事)。

 刷新プロジェクトの陣頭指揮を執るのは、同社の山本信也・取締役経営企画部長である。CIO(最高情報責任者)の役割も兼任する山本取締役は今回、顧客が自分でバーコードを通して精算するセルフレジの導入を決断した。このセルフレジはJR東日本の電子マネー「Suica(スイカ)」専用で今回は200~300台規模を導入する。導入対象の店舗数は100店前後で、都内のJR山手線沿線と周辺の駅に主に配備する計画だ。電子マネー対応のセルフレジ導入としては国内最大規模の事例になる見通しである。

 山本取締役は、通勤・通学の時間帯にキオスクやニューデイズに殺到する顧客にどう対応するかに悩んできた。そこでJR東日本リテールネットのシステム開発において、店舗システムを刷新することで、少しでも会計時の接客時間を短縮しようとしている。小売り業界に先駆けてセルフレジの大量導入をいち早く決めたのは、接客スピードの向上こそがJR東日本リテールネットの至上命題だからだ。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・必ずしも経営トップに限った話ではありませんが、どんな話題でも簡潔・明瞭(めいりょう)に説明できることが大切だと思います。そのためには、自分自身の考えをしっかりと整理しておく必要があります。

・同じく大切だと思うのが、相手の呼吸に合わせてコミュニケーションすることです。いささか直観的な表現になりますが、言葉には表れてこない(言葉の裏に潜んでいる)心理的な背景まで察するように努めています。これは、お客様を含めて、私が仕事上で接するあらゆる相手に対して共通していえることです

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・2009年5月以降に予定しているPOSレジの刷新に際してもそうですが、ハードウエアについては、随分と低価格化が進んだことを高く評価しています。しかし、ソフトウエアについては、どうしても開発に携わる人が多くなって、それがコスト高になるばかりでなく、ソフト開発の柔軟性に支障が出ることにつながると感じています。なお、ソフト開発に当たっては、そのでき上がりの様子を、我々ユーザー側が逐次チェックしながら、必要な修正ができるようになればと思います

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・特にありません。ビジネスパーソンとして、仕事上で必要な情報は各社のウェブページや有識者のコラムやブログなどから、そのヘッドラインを自分のパソコンを使って網羅的に集め、任意にアクセスできるようにしています

◆最近読んだ本
・『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』(岡本 太郎著、青春出版社刊)
 著者の個性あふれる文章に圧倒されます。何年たっても印象に残り続ける本の1つかもしれません

・『宇宙「96%の謎」―宇宙の誕生と驚異の未来像』(佐藤 勝彦著、角川学芸出版刊)
 宇宙論の最新事情について、著者の「インフレーション理論」を中心に紹介した本です。難しい内容でしたが、壮大なスケールの話にワクワクしながら読みました

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・Google。大抵のことは、ここからの検索で十分です

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・最近できた商業施設は、できるだけ直接行って見ます。どういう店舗で、どういう商品(見せ方も)、どういうサービス、どういう顧客が多いのか、エキナカ(駅中)にある当社の店舗と比べて見ると、とても参考になります

◆ストレス解消法
・仕事上のストレスは、緊張感の維持のための刺激ととらえています。従って、ストレス解消を意識した行為はあまりないと思っています

・仕事上で予見される懸念事項については、できるだけ当日中に明確にして、必要な手当を講じるように心掛けています。そうすれば、仕事を離れても心配事を抱えることは少ないと思います