古庄 潤(ふるしょう じゅん)
本業はエンジニア。ICに様々な機械をつなぎ,電流やら電圧を測定する。もちろん,これらの測定器もVBAでコントロールし,取り込んだデータもマクロで処理する。人呼んで,マクロの鬼軍曹!

「先生,おはようございます」
「おはようさん」
「寒いですねぇ」
「冬じゃからな」
「あら,なんか冷たい言い方。さては,また煙草屋のミーちゃんにふられました?」
「そんなことはない。それに『また』とはなんじゃ『また』とは」
「いつも,ふられてるくせに」
「なにか言ったか?」
「いえ。じゃあ,新品の竿が折れたとか?」
「まだ使っておらん」
「じゃあ,どうしたんですかぁ?」
「実はじゃな」
「ふんふん,実は?」
「君が,昨夜若い男と飲んでおったと…」
「ん?ゆうべ?あぁ,野菜屋のケンちゃんのこと?」
「どこの誰かは知らん」
「あれは,野菜とビタミンの関係を知りたいって言われたから,アドバイスをしてただけ。先月受講した栄養学の講座が早速役にたちました」
「あ,そ」
「あれあれ?もしかして,やきもち?」
「な,何を言う」
「ダルビッシュ有」
「しゃれとる場合か」
「好きなんですね?」
「君は,娘みたいなもんじゃ」
「いいでしょう。でも私を疑った罰です。今夜は焼肉!先生の奢り」
「しょんなぁ…」
「お待ちの相談者の方,ど~ぞ~」

今月の相談
マクロを仕込んだブックが沢山あります。いちいち開いてマクロを走らせるのは面倒です。処理の内容は同じなので,仕込んだマクロを使わずに,新たにマクロを作成して一気に処理しようと思ったのですが,処理の対象となる範囲がばらばらで,ちょっと面倒です。何かいいアイデアはないでしょうか?

「先生,楽をしたいと言ってます」
「そうじゃな」
「あれが面倒,これも面倒,そんなんじゃ仕事はできませんよ」
「そうでもない」
「え?」
「楽をしたいという気持ちも悪いことばかりじゃないんじゃ?」
「駄目ですよぅ。人間,地道にこつこつ働かないと」
「そう,ゲール君は正しい。地道に働くことは大事じゃ」
「でしょ?」
「しかし,楽をしたいと思う気持ちがなければ,工夫がない」
「どういうことですか?」
「ゲール君がマクロを学ぼうと思ったのはどうしてじゃ?」
「そりゃあ,手作業でちまちま集計するよりも,マクロで一気に処理したほうが楽だからです…あ!」
「よろしい。進歩の源は,楽をしたいという気持ちじゃ。サボって楽をしてはいかんが,工夫をして楽をするのは大いに結構。では,患者さんの望みを適えてやるとしよう」
「何かアイデアがあるんですか?」
「うむ,何年か前に似たような事例があった。ちょっと待っておれ」
ガサゴソ ガサゴソ
「おぉ,あった,あった,これじゃ。解決策はここにある」
「どれですか?」
「ここ,ここに書いてある」
「マクロでマクロ?」
「名言じゃなぁ」
「禅問答ですか?」
「あら!マクロでマクロを走らせるってことなんじゃが」
「ん…」
「まあ,よい。つまりは,それぞれのブックに仕込まれたマクロを走らせるマクロを作るということじゃ」
「そんなことができるんですか?」
「うむ,あまり使うことはないがRunメソッドというものが用意されておる。これを使えば,他のブックに記述されたマクロを実行することができるんじゃ」
「なるほど,では,早速お願いします」
「では,ちちんぷいぷいのえい!」

図1●マクロでマクロを走らせる
図1●マクロでマクロを走らせる
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「あれ?どこかで見たような」
「はいぃ?」
「これって,前回作ったのとよく似ているんですが?」
「さすが,ゲール君」
「それって,手抜きじゃありませんか?」
「違う,これは資産の有効活用じゃ」
「ものは言いようですね。では,コードの解説をお願いします」
「はい」