2008年8月,インド政府は新たな第3世代携帯電話(3G)の周波数オークション・ガイドラインを発表した。入札を国内事業者に限定する案もあったが,外資系の応札を可能とした。ただし外資比率の規制は残る。外資系事業者は100%子会社の入札などを求めており,オークションは11月時点で実施されていない。
(日経コミュニケーション編集部)
インド政府が8月に発表した3G周波数オークションのガイドラインは次の3点にまとめられる。(1)全土の23サークル(後述)のうち,第1段階としてデリーとムンバイに2~3社,それ以外は5社の参入を想定。それぞれ入札に基づき3G免許を付与する(以降の計画は未発表),(2)外資系通信事業者(外資比率上限は74%)も入札に参加可能。ただし,固定/携帯サービス提供に不可欠な「ユニバーサル・アクセス・サービス免許」未取得の場合(=新規参入の場合)は,165億ルピー(約345億円)の参入費用が別途必要,(3)政府系事業者2社(BSNL,MTNL)には,3G周波数帯を優先的に割り当てる。2社はオークション終了後,最高落札額と同額を政府に納付する──である。
(1)について,インドでは通信事業者の営業エリアをサークルという単位に分けている(図1)。収益性によって「メトロ」,「カテゴリーA」,「カテゴリーB」,「カテゴリーC」に分類し,各事業者は免許や周波数帯をサークルごとに取得する必要がある。
(2)の応札可能事業者は,当初は外資系を除く国内既存事業者に限定する案もあったが,増大する通信需要(図2)に対応しきれていない現状に鑑み,政府は外資系にも門戸を開いた。
(3)に関連して,今回のガイドライン発表を受け,3G周波数帯の優先割り当てが決定したBSNLとMTNLは,2008年末までに3Gサービスの提供を開始するとし,併せて米アップルのiPhone 3Gを12月めどに販売する考えを明らかにした。iPhone 3Gは,バーティ・エアテルとボーダフォン・エッサーが8月から発売中。これによりインドでは4社がiPhone 3Gの販売を手がけることになる。