図1●リコー「監視サービス」を統括する監視統制センターの内部
図1●リコー「監視サービス」を統括する監視統制センターの内部
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 「中堅・中小企業では,システム担当者が少なかったり,ほかの業務と兼任していたりする場合が少なくない。リコーのデータセンターは,そうした企業に使ってもらうことを念頭に置いている」――。リコーのデータセンターでITサービスを提供するリコーテクノシステムズの土橋勝氏(ITマネージド本部 副本部長 兼 EMS運用センター センター長)は,同社のデータセンター事業についてこのように語る。

管理者いらずのサービスをラインナップ

 同社が東京都江東区のデータセンターほか7カ所で提供するサービスが「EMSサービス(エンタープライズマネージドサービス)」だ。特徴はサービスの細かさにある。自社のサーバーをリコーのデータセンターに預ける基本サービス「ハウジング・サービス」に加え,「監視サービス」「障害復旧サービス」「運用代行サービス」「管理サービス」の四つのサービスを追加できる。顧客はこれらのサービスから,必要なものを自由に選択可能だ。

 「監視サービス」は,リコーの監視統制センターでシステムの性能やリソースなどを24時間365日,監視する仕組みである。また,障害が確認され次第,復旧作業にかかるのが「障害復旧サービス」だ。オンサイトでハードウエアの部品交換をしたり,OSやアプリケーションの再インストールを実施したりする。データの定期バックアップやセキュリティ・パッチの適用,セキュリティ・ログの取得・管理など,日常運用作業を任せる場合は「運用代行サービス」を利用する。

監視体制も厳重なセキュリティ

 これらのサービスは,問い合わせ受け付けや障害の一次対応を担当するITエンジニア30名,二次対応としてより専門的な技術支援で復旧に当たるITエンジニア80名で提供している。監視統制センターにおいて,一次対応をするITエンジニアが作業するスペース(図1左上の部屋)は,二次対応をするスペース(図1右下の広い部屋)の奥に位置するとともに,別の認証を受けなければ入室できないようにしてある。土橋氏は,「一次対応では顧客の連絡先やシステム構成などの機密情報を目にする機会が多い。情報漏洩防止の観点から,より厳密なセキュリティを施している」と語る。

 興味深いのは,顧客からの問い合わせを専任のITエンジニア「サービスマネージャー」が一元的に受け付ける「管理サービス」があることだ。リコーテクノシステムズの増澤重之氏(ITマネージド本部 ITマネージド統括室 EMS運用戦略グループ リーダー)は,「障害発生時の連絡や定期レポートの報告など,担当者を専任にすることで顧客のシステム状況をより詳しく理解できる」と語る。「例えば不調なサーバーが故障する前に交換することを顧客に提案でき,システムの安定稼働につなげられる」と増澤氏はメリットを説明する。

ワンモア・ポイント
 データセンターのサービス価格は個別要素が多いために,個別見積もりであることが多い。しかしリコーのEMSサービスは,基本価格を公開している(http://www.cs.r-ts.co.jp/rcc/solution/070828-02.html)。

基本情報
●名称:東京データセンターなど7カ所
●場所:東京都江東区など
●最寄り駅:要問い合わせ
●料金:1ラック30万円~