オペレーティング・システム(OS)の違いなどに左右されることなく,統一したGUI(Graphical User Interface)を持つソフトウエアを作成したいという要望は依然強い。この本が紹介しているSwingは,まさにそのような要望に応える有力な選択肢の一つだろう。Swingは,JavaのGUIを構築するためのソフトウエア。AWT(Abstract Window Toolkit)を拡張したものだ。これまでSwingは,起動が遅い,メモリーを多く消費するなどの欠点が指摘されていた。しかし,コンピュータのCPUが高速になり,メモリーが大容量化し,性能面の問題は解決しつつある。

 この本は,Javaプログラミングの経験者向けに,Swingアプリケーションの開発方法を解説する。描画,イベント処理,レンダリングなどの基礎的な部分から説明しているので,恐れる必要はない。米Adobe Systemsの「AIR」,米Microsoftの「Silverlight」といった新しい選択肢もあるが,Javaが最初からクロスプラットホームを目指していたこと,ここまでずっと改良を加えてきたことを考えれば,もう一度Java/Swingを検討するのも悪くないかもしれない。

Filthy Rich Clients

Filthy Rich Clients
Chet Haase/Romain Guy著
松田 晃一/小沼 千絵訳
ピアソン・エデュケーション発行
5670円(税込)