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エノテック・コンサルティングCEO 米AZCAマネージング・ディレクタ 海部 美知 |
バラク・オバマ氏が米国の次期大統領に選出された。有色人種という不利を跳ね返した背景には,現政権への批判に加え,選挙戦にネットを使いこなした点が指摘されている。
と言っても,単にバナー広告や動画で宣伝したのではない。各種の「Web2.0」の手法を駆使したのが特徴だ。
マイクロ・ペイメント型の資金集め
選挙戦中にオバマ氏が集めた資金は6億ドルあまり。個人献金が90%以上を占め,一人当たりの平均寄付額は89ドルである。従来なら,選挙資金は大企業や組合などの組織を通じて集めるのが普通だったが,オバマ氏はかなりの部分をネットや電話を通じて個人から集めた小口寄付に頼った。この手法は功を奏し,オバマ氏は選挙資金でマケイン氏に大きく水をあけた。
こうして集めた資金を投じて,従来型の「テレビ宣伝」も展開し,ネット活用層以外の人にもリーチする戦略を採った。
ユーザー生成型の人的動員
さらに特徴的だったのが,SNS(social networking service)や携帯メッセージを最大限に活用した人の動員である。
オバマ氏の公式Webサイトには,支援者が自主的に支援活動を組織するために,Webのテンプレートが用意されている。このおかげもあり,大手SNSサービスであるFacebookの公式ページでは,「オバマ氏支持」と表明した人が250万人に上り,「マケイン氏支持」の62万人と大きな差がついた。
オバマ陣営はFacebook以外にも,YouTube,MySpace,Twitter,iPhoneアプリなど,あらゆるソーシャル・ツールを利用している。テレビCMや組織的な支持の呼びかけよりも,身近な友人からの働きかけの方がはるかに強い影響力を持つ,という事実を利用した巧みな戦略と言えるだろう。
「政治本来の姿」か「衆愚政治」か
マケイン氏も早い時期からネットの活用に目を付けていたと言われている。しかし,共和党が選挙戦でターゲットとした層は,そうしたネット戦略と親和性の低い人たちであった。
それに対しオバマ陣営は,4年前と比べて数も影響力も増した「ネット活用層」に狙いを定めた。その結果,若年層を中心に,初めて選挙に参加する人の多くを取り込むことに成功した。
従来型の民主主義では,お金と票を取りまとめる「組織」が変化を阻害する既存勢力にもなる。ネットによる個人の活性化は,本来の民主主義の姿を取り戻したという見方もできる。一方,これは単なるポピュリズムではないかとの懸念があることも事実だ。
日本では,公職選挙法の制約から,そもそもネット選挙活動ができない。これは,あるべき変化を阻害しているのか,それとも衆愚政治を防いでいるのか。ネット上の「衆愚」をどんと受け止める主義のシリコン・バレーから見ていると,どうも前者のように思えてならない。
エノテック・コンサルティングCEO,
米AZCAマネージング・ディレクタ
世界の景気を左右する米国のクリスマス商戦だが,空前の不況の中,期待は薄い。WiiやiPhoneのような目玉商品も見当たらない。ショッピング・モールでは大幅値引きセールや豪勢なおまけの大盤振る舞い。なんとか需要を喚起しようと必死な様子が見える。