2009年にモバイルWiMAXの商用化を予定するUQコミュニケーションズは11月,MVNO向けの卸料金を公表した(関連記事)。MVNOが通信設備を保有しない場合の料金は,契約者回線当たり月額3300円(税別)。これにMVNOの取り分が加わるので,ユーザー料金は4000円台前半になると見られる。

 この水準では苦戦が濃厚だ。現行の3Gの定額サービスは月額5000円台(完全定額の場合)が中心。これに比べれば安いかもしれない。しかしモバイルWiMAXは当初は提供エリアが狭く,2.5GHz帯の周波数を利用するので屋内に電波が入りにくいとされる。利便性を考えると,高くても3Gを選ぶユーザーが多いと思われる。

 もっとも提供エリアや屋内利用に関しては,3Gの通信機能と組み合わせたり,家庭向けのリピータや無線LANルーターとセットで提供したりする対策が考えられる。ただ,その場合は料金がさらに高くなるので,結局「3Gで十分」ということになりかねない。

 今回,通信設備を保有するMVNO向けの帯域幅課金も公表された。料金は10Mビット/秒で月額1260万~1310万円で,「契約者回線または端末当たり月額1900円」(いずれも税別)を払う必要がある。この料金は,NTTドコモやイー・モバイルの料金(3G)に比べて高い。回線や端末ごとの料金が高いので,料金設計の自由度も低くなる。例えば2段階の定額制を導入する場合は下限が最低1900円になってしまう。

 UQコミュニケーションズは今回の卸料金を「開業直後で市場形成も不透明な時点での暫定料金。2011年度以降に見直す」としている。事情は分からなくもないが,それでは遅過ぎるのではないだろうか。