Windowsは,あらかじめ指定したタイミングでプログラムを自動実行する機能を装備している。Windows NTではATコマンドと呼ぶコマンドを使って,実行するプログラムとスケジュールを登録すると,指定した時間がきたときにバックエンドで自動実行していた。Windows 2000以降では,こうしたスケジューリングによる自動実行がGUI画面から登録・設定可能になった。

イベントを監視して管理タスクを実行可能に

 Windows Server 2008では,この「タスク・スケジューラ」機能を大幅に強化している。Windows Server 2003までは,日単位や月単位,コンピュータの起動時など,あらかじめスケジューリングした特定のタイミングでプログラムやスクリプトを自動的に実行するというものだった。これに対し,Windows Server 2008のタスク・スケジューラは,スケジュール機能を強化し,タスクの実行条件(トリガー)の設定要素が増えたほか,プログラムやスクリプトの実行以外にもタスクの操作を指定できるようになった。

 たとえば,Windows Server 2008のタスク・スケジューラでは,イベント・ビューアに特定のイベント・ログが記録された場合に,指定したタスクを実行するといった設定が可能となった。この機能を利用すれば,サーバーの稼働状態を確認する上で最も重要な情報が記録されているイベント・ログの管理を,タスク・スケジューラと連携して半自動に監視できる。また,あらかじめ監視対象のイベントを設定しておけば,特定のイベントが発生した際に自動的に対処するような操作を実行できる。また,従来のタスク機能では,タスクの操作がプログラムやスクリプトの実行に限定されていたが,タスク・スケジューラでは,電子メールの送信が可能になった。

 今回は,このようなタスク・スケジューラの新機能を活用して,Windows Server 2008を効率的に管理するシナリオを紹介しよう。具体的には,2種類のサーバー管理の場面を想定して,タスクの設定手順を紹介する(図1)。

図1●Windows Server 2008のタスク・スケジューラで追加された機能を活用すればサーバーの管理を効率化できる
図1●Windows Server 2008のタスク・スケジューラで追加された機能を活用すればサーバーの管理を効率化できる
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2つのシナリオを想定し具体的な設定手順を解説しよう

 1つは,特定のイベントが発生した際に,そのことをメールで管理者に伝えるというシナリオである。Windowsサーバーに何らかの異常が発生した場合には,何らかのイベントがログが記録されているものである。たとえば,不正アクセスを試みられた場合は「ログオンの失敗」といったイベントが記録されていることが多いし,マシンが起動しなくなる前にはディスクなどのエラーがイベントとして記録されていることが多い。こうしたイベントが発生したときに,リアルタイムで通知メールを送信するようにすれば,サーバー管理者は迅速な対応が可能になる。

 もう1つは,特定のイベントが発生したときに,ログ・ファイルを別のサーバーに待避するというシナリオである。何らかのトラブルが発生した場合に,ログ・ファイルは貴重な情報源となる。このため,重大なトラブルが発生しそうなログが記録された場合は,すぐにほかのサーバーにログ・ファイルを書き出しておくとよい。万が一サーバーが起動しなくなっても,待避したログを確認することでトラブルの原因を調査することができる。

小田 和宏
NTTデータ
製造ビジネス事業本部 ソリューションサービス部
2007年4月に株式会社NTTデータ入社。2008年4月より現職。現在は主に製造業のお客様を対象に,Windows OSを基本とした方式基盤の構築を担当。入社以来携わっているWindows OS周辺のシステム構築スキルを身につけることが当面の目標。お客様から名指しで指名されるエンジニアになるべく,日々努力している。