会場を埋め尽くす人,人・・・大盛況である。どこがと言えば,2008年12月11日~13日に東京ビッグサイトで開催されたエコプロダクツ2008。今年で10回目を迎える国内最大規模の環境展示会には,過去最多の758社・団体が出展,来場者もこれまた過去最多の17万5000人を数えた。業績低迷や人員整理など世間を襲う不況の嵐も,この会場にあってはどこへやらである。
会場では,円錐帽をかぶった小学生たちがプレミアム商品で膨れあがったバッグを背負い,ポイントラリーを制覇すべくブース間を飛び回る姿が目立った。一方でスモックを着た幼稚園生たちが,あまりの人の多さに圧倒されたのか,ホールの隅で休んでいる愛らしい姿も見られた。
そもそもエコプロダクツは消費者を対象にした環境展示会であり,企業のほとんどは自社の環境商品の普及を狙って出展している。展示の内容も消費者に対する環境教育的な色合いが濃いため,最近は小中学生の来場者が増え,中には校外学習のプログラムとして観光バスを連ね,大挙して押し掛ける学校もある。
来場者が10年で4倍,展示に工夫を凝らすIT各社
筆者は2000年からエコプロダクツ展を見てきたが,当初に比べると展示の質・量ともに格段に充実している(図1)。最初は「環境はコストにこそなれ,商売にはならない」と思っていた多くの企業もすっかり考えを変えたようである。

IT・エレクトロニクス各社も競うようにブースを出し,それぞれに工夫を凝らして,自社の環境配慮商品やサービスの特徴を消費者に訴えていた(写真1~6)。
来場者は様々なプレミアム・グッズを手に入れようと熱心に各ブースを訪問するが,出展社もそう簡単にグッズを提供することはない。企業がアピールしたい技術や商品のキーワードをクイズにしてブースの中に仕込み,来場者に探し当ててもらう形式がすっかり定着した。東芝ブースでは,女子学生たちがプレミアム・グッズの「星の王子さま」のエコバッグを目当てに,エネルギーや照明など3つのテーマゾーンをぐるぐる回っていた。
各企業のブースの中でも特に目を引いたのは,来場者参加型のワークショップを開催したソニー。同社が研究開発に注力している色素増感太陽電池をアピールすることが狙いだ。ワークショップに参加した子どもたちは,研究員よろしく白衣を着込み,みかんの皮などから抽出した色素を使って太陽電池の製作に挑戦。円卓を囲んで実験している様子は,ひと味違う演出で面白かった。