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萩本・匠スタイル研究所

第1回 システム要求の探究(その1)=要求とは何か?

萩本 順三=匠Lab代表取締役 2008/12/18 日経コンピュータ

 匠Style研究所・所長の萩本順三です。本研究所ではこれから、みなさんとともに“創発号”に乗って、ビジネスとITの摩訶不思議な世界を旅してみようと思います。みなさんはこれから、新しい発見をいくつもすることになるでしょう。もちろん私も、未知の領域に入り込むわけだから、ワクワクドキドキしています。

 ただし、創発号の旅を楽しむには、いくつかのルールがあります。みなさんは、ユーザー企業の業務部門や情報システム部門、あるいはシステム開発会社の方々でしょう。それぞれの業務の中で経験してきた知識を最大限に生かし考えてもらわないと、旅はつまらないものになります。

 大事なルールとして、まずは常識的と思っている事を疑うことをしてほしいのです。創発号に乗って外界を眺めている間に、きっと常識を覆すような事象を発見することになるでしょう。その時こそ常識を疑ってみると、そこにシンプルで美しい風景(解)が見えてくるのです。思う存分その風景を楽しんでください。

 さあ出発です。みなさんもこの長旅を楽しみながら、私と一緒にクリエイティブな、ビジネスとITのマイスター(匠)に成長していきましょう。

 第1回で取り上げるのは、システム開発の要求についてです。これは難しい問題なので何回かに分けて研究する予定です。

 僕自身、この「システム要件定義とは何か」ということを追及していけばいくほど、摩訶不思議な世界が見えてくるように思います。それでは、その不思議な世界をここでご紹介しましょう。まずは軽めの話からスタートです。

システム要求とは、そもそも何か

 そもそも要求とは、だれかがだれかに何かを求めることです。システム要求とは、「コンピュータ利用者が、コンピュータ・システムに求めるもの」ということになります。さてここで問題なのは、コンピュータ・システムに要求するのは何かということです。

 僕が若い頃は、まずは「何がしたいのか」という“What”に着目するのが要求定義だと聞いていました。そしてユーザーからWhatを聞きだし、その実現方法(How)を定義するのがSEだとも。そんな僕は、ある程度システム開発の経験を積んだ頃、若い人にこのように話していました。

システム要件定義とは、お客様が何をやりたいのかという要求を聞きだし実現することです。でもお客様の要求には現状のコンピュータ・システムでは実現不可能なことや矛盾もある。だから我々技術者は、自分のポケットに実現手段(How)を隠し持ち、要求(What)に最適な実現手段を選びだしたり、最適な実現方法にお客様の要求を誘導したりする。そのテクニックが要件定義なんだよ。だから僕らは、技術を学び様々な実現方式をポケットに締まっておかなければならない。

 これは今でも的を得た考えだったと思います。つまり、少なくとも当時から僕は、要求は何をするかというWhatと、どう作るかというHowをセットで考えることが大切だと考えていたわけです。

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