社会人になって約20年、定年までの折り返し地点に到達した Around 45。残り半分の社会人人生も自分に合った役を演じたい――と思いつつ、現在の仕事や役職が「適役」かどうか気になっている45歳前後は少なくない。Around 45のITパーソンは、どのような生活を送っているのだろうか。「3300人大調査」の結果を基にAround 45のペルソナ(架空の人)を作ってみた。

注 調査結果からITに携わる44~46歳の回答を抽出。最頻値や平均値、自由意見を基にペルソナを作成した

Around 45のペルソナ

田中 誠(仮名)

イラストレーション=師岡とおる
イラストレーション=師岡とおる

 メインフレームからオープンシステムへの変遷を肌で感じながら社会人人生を歩んできた。就職活動中からバブル景気が加速し、わずか5年で日経平均株価は約2倍に急上昇。当時は毎年のように海外旅行に行くなど、日本経済の絶頂期を実感した世代である。ただ、「バブル世代」と呼ばれることには抵抗を感じている。現在、約20人の部下を束ねる管理職だが、定年までの残り15年のキャリアに不安を感じ始めている。

●年収(諸手当含む) 755万円
●職業 プロジェクトマネジャ
●役職 課長
●学生時代の専攻 理系(情報工学専攻)

田中さん(Around 45)の生活

 妻と小・中学生の子供2人の4人家族。都内のマンションに住んでいるが、子供が大きくなってきたので家が手狭になってきた。午前0時20分に就寝し、6時20分に起床。早朝会議がない日は、自宅でしっかりと朝食をとってから出社する。平日は帰りが遅いため、夕食は帰宅後に1人で食べている。

 休日は家族で買い物に出かけたり、子供と遊んだりすることがほとんど。子供中心の生活になるため、趣味など自分だけの時間を確保することは難しい。1カ月のお小遣いは4万~5万円(40代平均は4万2000円)。

田中さん(Around 45)の仕事

 労働時間は1週間当たり50時間。多いときは70時間くらいに達する。年俸制なので「残業」という概念がない。部下は約20人いるものの、人事権や決裁権などはない。最近話題になっている「名ばかり管理職なのでは?」と思うことも多い。

 しかし、現在の仕事に携わって「良かった」と思っている。待遇(給与や福利厚生など)は、他の業界に比べて悪くないと思うからだ。仕事を通じて社会に貢献していることも、仕事のやりがいにつながっている。

 将来のキャリアパスについては、漠然と考えている程度。5年後に何をしているかは、正直、明確な目標があるわけではない。現在の職場での昇進や給与アップは当然として、人脈も広げたいと思っている。将来を考える上で、目標とする上司はいない。

田中さん(Around 45)の情報収集・発信

 新聞は毎日欠かさず読んでいる。忙しいときでも、見出しだけはチェックしている。仕事上「日本経済新聞」は必須だ。自宅では「朝日新聞」や「読売新聞」も購読している。

 最近はWebサイトでニュースをチェックするようにもなった。ヤフーの「Yahoo!ニュース」は、各社の記事がまとまっているので重宝している。RSSリーダーという便利なツールがあるようだが、使い方がわからない。

 書籍は月に2~3冊は読むように心掛けている。話題の小説から経済関連、IT関連など特にジャンルは決めていない。読書のためにまとまった時間を作れないので、もっぱら通勤電車の中で読んでいる。

 最近話題のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログには興味がない。知り合いから紹介されSNSのIDは持っているものの、一度もアクセスしていない。時間に余裕ができたら、人脈を広げるためにもSNSを活用したいと思っている。

田中さん(Around 45)のスキル

 仕事では英語の文書を読み書きすることが増えた。英語で会議をすることはできないが、なんとかなると思っている。20代のころ頻繁に海外旅行に出かけたこともあり、英語でのコミュニケーションに抵抗を感じることはない。

 初めて学んだ開発言語は「COBOL」。就職してからしばらくは、COBOLによるシステム開発に携わった。現在はプログラミングに携わることはないが、C言語やJavaについては大枠は理解しているつもりだ。

 ITの資格は持っていない。今から10年以上も前に「基本情報技術者(旧2種)」を取得したきりだ。PMPなどプロジェクトマネジメントの資格に関心はあるものの、あえて資格を取得しようとは思っていない。