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社外でビデオ会議を実演する機会に備えて、パソコンと一緒にUSBカメラを持ち歩く。最新のスマートフォンは実機を購入してチェックする。 |
自らの営業手法を、石原は「体験を顧客に伝えることに力を注いでいる」と話す。石原自身が、日常のビジネスシーンでIP電話やビデオ会議をどう活用しているか。働き方はどう変わったか。自らの体験を伝えると、今度は顧客が自社の現状を語り出すという。「うちの職場は伝言メモが飛び交っているが、連絡ミスが多い」「オフィスと顧客先の往復が多くて、営業担当者の業務効率が悪い」。
顧客がこのように自社の課題を語り出したら商機である。「顧客企業が自ら、目指すべきゴールを意識した」(石原)からだ。現在、シスコがIP電話を提案する営業プロセスでは、ユーザー企業の担当者をシスコのオフィスに招き、実際の活用シーンを見学してもらう「オフィス体験ツアー」が定番になっている。これも石原の発案で始まったものだ。
体験を顧客に伝える営業手法は、IP電話のマーケティング担当者として中小企業向けの商品開発を手掛けたときに生まれたという。当時のシスコは日本IBMと協業し、両社の商材を組み合わせたパッケージ商品を開発した。しかし全く売れなかった。
中小企業の経営者や販売パートナーの営業担当者に話を聞くと、マーケティング理論だけでは思い付きもしなかった売れない理由が分かった。そもそも活用方法が分からない企業経営者は、優れた商品にも飛びつかないということだ。そして顧客への販売実績のない商品を、営業担当者は積極的に売らない。
打開策として、石原はパートナーと顧客企業の担当者をシスコのオフィスに招待する体験ツアーを着想。この施策が効果を上げ、パッケージ商品の販売が上向き出したという。経営やマーケティングの知識に、現場感覚での発想を組み合わせる。石原の強みは、この時に学んだ売れる仕組み作りにあった。
シスコシステムズ
ユニファイド コミュニケーションズ
シニアセールススペシャリスト