2001年から毎年開催されているRubyのイベントInternational Ruby Conference(通称RubyConf)。2008年はフロリダ州のOrlandoで現地時間11月6日から8日まで行われた。今回もキーノートな どの一部の発表をのぞき3トラックが並列する形式で,それぞれの部屋で白熱した議論が交わされた。
Waves,Ramaze,Sinatra,Merb,Rails---さまざまなフレームワーク
まつもとゆきひろ氏は基調講演で,RubyユーザーがRubyを選択する理由について分析した。まつもと氏自身がRubyを選ぶのは自分の作品だ から当然だが,ユーザーはそうではない。Rubyの何が支持されているのか,として,氏のBASICやLispにおけるプログラミング経験から, 「BASICではパワー不足だしLispは難しすぎる。RubyはDSLも作成できるパワーが支持されているのではないか」と述べた。
また近年のRubyコミュニティの拡大に触れて,多様な人材から多様なプロジェクトが生まれている点を指摘。青木峰郎氏を例に挙げ,Rubyの初心者を排斥せずに育て上げていくべきであると語った。
・Matz's Keynote -- Yukihiro 'Matz' Matsumoto(カンファレンス映像配信サービスconfreaksによる動画。以下特に断りのないリンクは同じ)
今回のカンファレンスで特徴的だったのは,いくつかのWebフレームワークが発表されたことだ。目についただけでも,RESTアーキテクチャを実 現するWaves,MVCモデルで軽量なRamaze,DSL(Domain Specific Language,特定領域に特価した言語)を活用し非常に簡潔な記述が可能なSinatraについての発表が行われた。
・Waves: a Resource-Oriented Framework -- Dan Yoder
・Ramaze: The underrated Web Framework -- Luc Castera
・Lightweight Web Services -- Adam Wiggins & Blake Mizerany
またフレームワークそのものに関する発表ではなかったが,Merb 1.0のアナウンスも行われた。
・Writing Code That Doesn't Suck -- Yehuda Katz
もちろん,独立したセッションこそ設けられていないがRuby on Railsの話題はもはや特筆するまでもないほどに空気のようにいたるところで発表されていた。Railsが既にある程度の成熟を見せているため,他のフ レームワークに目を向ける余裕が開発者にも利用者にも出てきたのではないだろうか。
・Ruby In the Clouds -- Jim Menard
・Summer of Code - Rails Thread Safety -- Joshua Peek