東芝は、パソコンのセキュリティを高めるソリューション「Virtual Group Computing System(VGCS)」(仮称)を2009年第1四半期にも製品化する。独自に開発した仮想化技術を用いて、パソコン内で保存しているファイルを自由に外部に持ち出せないようにする。

 「Virtual Group Computing System(VGCS)」(仮称)は、専用のソフトをインストールするだけで利用できる、パソコン向けセキュリティソリューションである。データの複製を制限するだけでなく、管理者のパソコンから、管理下にある複数のパソコンのファイルへのアクセスを制御したり、OSや業務ソフトの更新を一元管理したりできるようになる。

 事業企画を担当し、VGCSの生みの親の一人である東芝の下田淳IPネットワーク事業開発部参事は、「利用できるアプリケーションに制約がなく、処理性能が高いというパソコンの利点はそのままに、シンクライアントの特徴を取り込めばユーザー企業の支持を得られるはず」と語る。

 VGCSの中核となるのはvRASという東芝独自の仮想化ソフトである。vRASをインストールすると、パソコンの中で仮想的なLinuxサーバーとエンドユーザーが利用する仮想PCが稼働する()。管理者のパソコンからは管理下のパソコン上で動く仮想サーバーを通じて仮想PCを制御できる。

図●東芝が開発した「Virtual Group Computing System」(仮称)の仕組み
図●東芝が開発した「Virtual Group Computing System」(仮称)の仕組み

 管理下のパソコンのデータは仮想サーバー上で管理しているので、パソコンをネットワークから切り離すと、データにアクセスできなくなる。VGCSを使えば、ハードディスクを持たないシンクライアント並みのセキュリティを、通常のパソコンで簡単に実現できるわけだ。