データセンターを選定する上で,物理的なセキュリティ強度が高いかどうかは必ずチェックしておきたいポイントだ。見るべきは,入館時,入室時,ラック解錠時の三つのタイミングでのセキュリティ強度である。

 入館については,事前の入館登録手続きを必須とし,実際の入館時にICカードや指紋などを照合するデータセンターが大半だ。最近では共連れ防止装置を導入しているデータセンターも増えている。これは複数人の同時入館ができないようにする仕組みであり,セキュリティ強度が高まる。

 次の入室時とは,自社のサーバーが設置してあるフロアに入るときの認証である。入館時に利用したICカードや生体とは別の認証機構があると,よりセキュリティ強度が高まる。念のため,自社のサーバーが設置してあるフロア以外は入れないことも確認しておこう。

 最後のラック解錠時とは,ラックを囲うケージにかけてあるカギを開ける際のセキュリティである。カギはデータセンターで受け取ることが多いが,ここも別の認証機構があるとセキュリティ強度が高まる。例えば住商情報システムは,ラックを開けるためのカギを渡す際に,フロアに入る際に使う認証とは別の認証機構(指静脈と暗証番号入力)を用いている。

 最近は,さらに強度の高いセキュリティを備えるデータセンターも増えている。その一例が体重測定だ。フロア入室時や退室時に体重を測定し,体重差があれば何かを持ち出した,または設置した疑いがあるとして検査を実施するものだ。また,データセンター利用者に電波を発するICタグを持ってもらい,データセンターのどの場所を動いているかを監視するデータセンターもある。例えば単なる通路に1分以上いると,不審行動とみなしてアラートが上がるといった仕組みになっている。