写真●NTTPCコミュニケーションズ ネットワーク事業部 事業企画部長の小山覚氏
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 「仮想化やITプラットフォームの共有など,ユーザーのニーズに対応しているうちに,いつしかグリーンITソリューションを提供していた」──。10月14日に開催したグリーンITフォーラムで,NTTPCコミュニケーションズ(以下NTTPC) ネットワーク事業部 事業企画部長の小山覚氏が講演し,同社が進めるグリーンITへの取り組み「ココエコプロジェクト」について解説した。

 最初に小山氏は,同社のインターネット接続サービスの省電力化について紹介。2002年3月と2008年3月のトラフィック量を比較すると数倍増えているにも関わらず,バックボーン設備における電力消費量は約25%削減したという。「顧客の要望に応え,パフォーマンスを向上させるために最新のサーバーやネットワーク機器を導入したら,結果的に電力消費量を削減できた。同様にコストダウンの要望に応えるため,インターネットとイントラネットを同じ回線に収容して回線効率を高める集約化技術を導入したところ,やはり大幅な省電力化につながった」。

最新のデータセンターでは自然エネルギー利用も

 話題は同社のデータセンター事業に移った。「通常,データセンターを建設する場合,数年先を見越して設計するため,どうしてもオーバーサイズになってしまう。その分のコストアップは顧客の利用料金に反映されるのが一般的だった」と小山氏は現状を話す。

 だが同社の新しいデータセンターでは,利用契約を予定している顧客に対して,どんな使い方をするのか,どんな運用を希望するかなど,徹底的にヒアリングした。さらに10年先までの電力使用量をシミュレーションし,余剰施設を持たずに,需要に応じて設備を順次拡張するというやり方でデータセンターを運用しているという。

 「電力コスト全体に占める空調コストの割合が大きくなってきたため,熱対策にも積極的に取り組んでいる」(小山氏)。水冷空調を採用したり,ラックの配置を最適化するなどして空調の効率化を図ってきた。さらに現在建設中のデータセンターでは,太陽光発電設備や直流電源,LED照明,屋上緑化などの省エネ対策を取り入れているという。

 こうした設備面だけでなく,運用面でもグリーンITの取り組みを進めている。同社では2005年から,ホスティング事業において,VMwareやXenServerなど5種類の仮想化技術の採用を開始した。また,ファイアウォールやUTM,ロードバランサ,侵入検知装置(IDS/IPS)などを複数のユーザーで利用する共用プラットフォームも用意。「ユーザーはITリソースをムダなく効率的に利用できる。これはグリーンITそのものだ」と小山氏は話す。

 NTTPCではこうしたグリーンITの取り組みを一つのコンセプトにまとめ,「ココエコプロジェクト」として体系化した。IT機器を持たずにサービスとして利用する「グリーンASP・SaaS」,複数のユーザーで機器を共有する「グリーンプラットフォーム」など,5つのラインナップがある。「顧客企業の環境対策をトータルに支援するため,グリーン電力証書やグリーン・サーバー証明書などのオプションも用意し,セット販売を考えている」と,小山氏は今後のサービス展開に意欲的だ。

 「グリーンITの取り組みを継続させるには,社員が社会的な貢献を実感できること,“やってよかった”と思えるようにすることがポイントだ。マネジメントはそうした仕組みを考える必要がある」と小山氏は最後に語り,講演をしめくくった。