米グーグルと米マイクロソフトが、自社データセンターの省電力化を巡り火花を散らしている。アプリケーションなどがインターネットのクラウド(雲)で処理される「クラウドコンピューティング」の時代、データセンターの優劣が、両社の競争力を左右する。決め手は「コンテナ」だ。

 グーグルは「1.21」、マイクロソフトは「1.22」―。これらは最近、両社が発表したデータセンターのPUE(電力利用効率、Power Usage Effectiveness)の値だ。PUEはデータセンター全体の消費電力をサーバーなどのIT機器の消費電力で割ったもの。電力がすべてIT機器で消費されている場合、PUEは「1」となる。データセンターの運用には空調装置や電力設備なども必要で、一般的なデータセンターのPUEは2.2~2.5程度と言われる。

 ところがグーグルは2008年10月1日、同社6カ所のデータセンターにおける年平均PUEが1.21になったと発表した。IT機器以外が消費する“無駄”な電力消費が、一般的なデータセンターと比べて6分の1以下の水準にあるというのだ()。日本の大手システムインテグレータで、データセンター建設の責任者を長く務めてきた人物は、「今までの常識的なデータセンター設計では達成できない」と舌を巻く。

図●データセンター運営各社のPUEの現状
図●データセンター運営各社のPUEの現状
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写真●米ラッカブル・システムズのコンテナ型データセンターICE Cube
写真●米ラッカブル・システムズのコンテナ型データセンターICE Cube

 一方、マイクロソフトも10月20日、新設のデータセンターでPUEが平均1.22になると発表した。第一期工事が完了したシカゴ・データセンターは、最終的なサーバー台数が55万台にも達する超大型案件で、「コンテナ」を初めて全面的に採用した。貨物輸送用のコンテナにPCサーバーを2500台も搭載する(写真)。シカゴ・データセンターだけで220台ものコンテナを運用する。米国のテレビ局PBSの報道によれば、グーグルもコンテナを使用しているという。

 コンテナ型データセンターのPUEが良いのは、サーバーの冷却に電気式のエアコンではなく、「水冷」を使用できるため。コンテナに供給した冷水をラジエーターに送り込み、コンテナ全体を冷やす。暖まった水はそのまま外に排出する。水冷だけでコンテナ内部は、常時20度以下まで冷える。サーバーの集積度が高く、密閉されたコンテナだからこそできる芸当だ。

 コンテナ型データセンターは現在、米サン・マイクロシステムズや米ラッカブル・システムズ、米IBM、米ヒューレット・パッカードがこぞって販売する。コンテナが一気に、データセンターの主役に躍り出た。