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ITpro

64ビットVistaに対する日米のすごい温度差

2008/12/02
渡辺 享靖=ITpro

 みなさんの会社では,もう冬のボーナスが支給されただろうか。この時期になると,支給日の1カ月くらい前から,「ボーナスで何を買おうか?」とあれこれ悩むのが楽しい。

 筆者の場合,今年は自宅の居間に置いている家族用のノート・パソコンを買い替えようかと考えている。およそ5年前のモデルだし,内蔵ハードディスク(40Gバイト)の空き領域が2Gバイトを切っているからだ。

 仕事で使うパソコンは実用性を重視するが,家族用のパソコンなら遊び心があってもいい。漠然とだが,「メモリーが安くなってきたことだし,次のパソコンは64ビット版Windows Vista搭載機にしようかな」と思っていた。きっかけは,「米国で64ビットVista機が主流になってきた」という米国発のニュースをいくつか目にしたことである。

 ところがいざ調べてみると,64ビットVista機をめぐる状況が米国と日本で全く違うことに驚いた。

米国では,500ドルのノート・パソコンにも64ビットVista

 2008年10月末のCNETの記事(『64ビット版のVista,コンシューマー向けノートPCでも主流に』)では,米国における64ビットVista機の状況について,米国の家電量販店で64ビットVista機が多数を占めていると報じていた。そこでまずは記事で紹介されていた米Best Buy(世界最大の家電量販店)のWebサイトをのぞいてみた。

 筆者は「なるほど」とうなった。ノート・パソコンの新着商品を掲載している「New Arrivals」ページでは,16モデルのうち,8モデルが64ビット版Vista搭載機だった。価格帯も幅広く,最も安価な64ビットVista機は499.99ドルとなっている。

 同様に,米WalmartのWebサイトものぞいてみた。ノート・パソコンの「New Arrivals」ページにある全30モデルのうち,最も多いのは32ビット版Vista搭載機だが,64ビット版Vistaも11モデルある。残りはWindows XPが3モデル,Linuxが1モデルだ(いずれも原稿執筆時点)。

 そんな状況を目の当たりにすると,「我が家のパソコンも,そろそろ64ビットVista機かな」などと考えてしまう。「32ビットでも十分でしょ?」と問われればその通りだが,そこは“遊び心”である。動かない32ビット・ソフトが多少あるにせよ,たいして性能が変わらない(むしろ遅くなることもある)にせよ,64ビットVistaの世界を体験してみたい気持が高まってきた。

「あれっ? 日本では64ビットVistaを選べるモデルが全然ないな…」

 しかし,いざ日本の主要パソコン・メーカーの直販サイトにアクセスして,がく然とした。パソコンの事情に詳しい読者ならお分かりだろうが,日本では64ビットVista機がほとんど販売されていないのだ。

 筆者もその状況を知ってはいた。そもそも「Vistaは重い,Windows XPで十分」という声をいまだによく聞く。それでも,「米国であれだけ盛り上がっているなら,日本でも,OSの選択肢の1つとして64ビットVistaを選べるモデルが増えているはず」と考えていたのだが,甘かった。

 日本では,4Gバイトのメモリーを標準搭載するハイエンドのデスクトップ・パソコンですら,64ビットVistaを選べない。これは「もったいない」と思う。

 最近はほとんどのパソコンが4Gバイトのメモリーを搭載できるが,カタログや直販サイトには,「搭載できるメモリーの最大容量は4Gバイトですが,OSが使用可能な領域は最大約3Gバイトになります」といった内容のただし書きが必ずある。32ビットOSのアドレス空間(2の32乗=4Gバイト)のうち,パソコンに組み込まれたデバイス類が1Gバイト近くを使ってしまうためである。ちなみにBest BuyやWalmartで販売している32ビットOS搭載機のメモリー容量は,そろって最大3Gバイトである。

 日本と米国で消費者ニーズやマーケティングが異なるのは当たり前だが,ここまで温度差があることに驚く。この週末にざっと探してみたが,日本の主要メーカーの中で64ビットVistaを選べるコンシューマ向けノート・パソコンを販売しているのは,日本ヒューレット・パッカードだけのようだった。きっとほかにも販売されているのだろうが,日本で64ビットVistaへの関心が冷え切っていることはよく分かる。

 ここで「米国は進んでいる」とか「日本は保守的だ」とかを論じたいわけではない。64ビットVistaの現状は,それぞれの国での市場ニーズの違いを表しているに過ぎないと思うからだ。コモディティ化が進んでいるとされるパソコンでも,国が違えばここまで販売状況が異なることがある。この事実を,筆者は今回の件を通じて改めて認識させられた。

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