iPhone 3Gが日本国内で発売となった際には,絵文字メール,ワンセグ,おサイフケータイといった日本特有の機能に対応していないことが,個人ユーザーへの普及を阻害するといわれた。世界各国でサービスや機能を統一した分,絵文字などの機能に慣れた日本の携帯ユーザーには不便に感じるというのがその理由だ。

 このうち絵文字メールについては,海外メーカー製の端末でも対応する動きが出てきた。イー・モバイル向けのTouch Diamondは,同社のキャリア・メールの読み書きが可能で,絵文字も送信できる。「日本のケータイ・メール文化は深く浸透しており,Webよりも利用頻度が高い。個人が手軽に使う端末として選んでもらうためには必須の機能」(イー・モバイル)であるため,導入に踏み切ったという。こうした取り組みは他の携帯電話事業者にも広がりつつある。NTTドコモもBlackBerryやWindows Mobile端末でiモードのメールを送受信する仕組みの検討を開始している。

アプリ配信サービスの整備が進む

 従来のスマートフォンとはもう一つ大きな違いがある。アプリ配信サービスの整備などインターネットとの連携によって,用途の拡大を狙っていることだ。各プラットフォームの開発元はそれぞれソフトウエア開発キット(SDK)を配布しており,世界中の開発者がアプリの開発に取り組んでいる。アプリ配信サービスがあれば,ユーザーが好みのアプリケーションを追加して,端末をユーザー自身の手で“機能拡張”できる。

 既に,iPhoneのApp Storeには膨大な数の有料/無料アプリが並び,7月の開始から2カ月で全世界のダウンロード数を集計すると1億本を越えたという。米グーグルもAndroid端末向けに「Android Market」を提供する。

 他のプラットフォームでも基本的な方向性は同じ。BlackBerryについてはNTTドコモが自ら日本語版アプリを配信するポータル・サイトの設立を目指している。その際,「不正な動きをするアプリでないかを確認するチェック機構を持たせる。購入時にはクレジットカードで決済できるようにする」(NTTドコモの三嶋ディレクター)という。リサーチ・イン・モーションの日本法人と共同で開発を進める。マイクロソフトもWindows Mobile向けのアプリを提供するサイトの設置を検討している。

 Web上のサービスとの連携によって,個人向けの用途を拡張しようという動きもある。マイクロソフトは,Windows Mobile端末から同社のWebストレージ・サービスに画像データをアップロードして,友人や家族と共有できるフォト・シェアリング・サービスを計画中だ。Windows Mobile端末で撮影した写真を表示してメニューから「共有する」という項目を選ぶと,友人や家族のパソコン上に常駐するガジットに写真が追加されたことを通知する。