日進月歩と言われるIT(情報技術)の世界だが、このところ話題となるテクノロジーはすでにあったものの改良が多い。しかしよく見渡せば、「こんなものが」という新しいテクノロジーが登場している。「面白いテクノロジーをどんどん紹介したい」と語るEnterprisePlatformサイトの志度昌宏編集長に、谷島宣之編集委員がその意図を聞いた。

谷島編集委員(以下Y) 「経営とIT」サイトのプロジェクトは、ビジネスリーダー向けの「経営とIT新潮流」、テクノロジ・リーダー向けの「EnterprisePlatform」という二つのサイトを運営するもので、これまで僕が両方担当してきたが、EnterprisePlatformについては志度さんに編集長をやってもらうことになった。初仕事としてテクノロジをウォッチする新しいコーナーを作ると聞いたが。

志度昌宏編集長(以下S) 雑誌の編集はずっとやってきましたが、Webサイトの編集責任者は初めてです。よろしくお願いします。クライアントからサーバーまで、エンタープライズ・アプリケーションからソーシャル・コンピューティングまで、テクノロジに関わる話をしっかり取り上げていきたいと考えています。新しいコーナーは、ちょっと変わったテクノロジ、あるいは、まだ海のものとも山のものとも言えない、新しいテクノロジを積極的に紹介しようという企画です。

テクノロジ玉手箱、略して“テクタマ”

Y コーナーの名前は決めたの。

S はい。「テクノロジ玉手箱」にしました。夢のあるテクノロジが沢山入っている箱をイメージしたものです。略して“テクタマ”、この愛称をはやらせたいと思います。

Y …。まあ、コーナーの命名権は編集長にあるからね。好きにしたら。ところで、その、テクタマなる企画を始める意図は何。

S EnterprisePlatformのコンセプトは、技術が分かっている人にさらに突っ込んだ情報を届ける場所、と聞きました。サーバーやクライアントをうまく活用したり、きっちりマネジメントしていくための情報をお届ける一方、これからのテクノロジを紹介することをもっとやるべきだと考えた次第です。日経コンピュータやITproは、膨大なテクノロジ情報を発信していますが、どうしてもユーザーが沢山いる、メジャーなテクノロジ、歴史のあるテクノロジの話が中心になってしまいます。このため、まったくの新テクノロジは案外目立たないように感じています。テクタマで、そのあたりのギャップを埋めていけないかと。

Y 確かに、ITリサーチ大手の米ガートナーが発表しているテクノロジのハイプサイクルを見ると、まだ話題になっていないテクノロジを記載する場所に、聞いたことのないテクノロジが沢山載っている。一度火がついて話題になると、我々は一斉に報道するが、それ以前の段階はあまり書かない。数年前、ガートナーが有望テクノロジの一つに、三次元プリンタを挙げていた。何が面白いのか、最初ぴんとこなかったが、たまたま家族が見ていたテレビ番組で三次元プリンタの実演が放映されていて、それを見たら本当にびっくりしたね。ほかにもああいう面白いテクノロジは沢山あるんだろうな。

S ガートナーのハイプサイクルに出ていて、日本でほとんど紹介されていないテクノロジを取材していくだけでも、結構な数があると思いますね。