写真●クオリティ グローバル・セールス&マーケティング本部 営業2部 部長の山田勝志氏
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 「300万人の当社ユーザーの電源管理を徹底すれば,東京ドーム1000個分の面積の森林を作るのと同じ効果がある」──。10月14日に東京・赤坂で開催したグリーンITフォーラムで,クオリティ グローバル・セールス&マーケティング本部 営業2部 部長の山田勝志氏が講演し,同社が提供するクライアント管理ソフト「QAW/QND Plus」を活用したグリーンITソリューションについて紹介した。

 講演の冒頭で山田氏は,企業内でIT機器の使用によるCO2排出量が増え続けている現状について説明した。「IT機器の中でも,PCやモニターによる電力消費量が大きく,全体の約40%を占める。これらは比較的,省電力対策が容易なので,すぐに取り組めるはず」(山田氏)。

 例えばクライアントPCであれば,Windowsに用意されている電源オプションを設定することが有効な削減策の一つという。「昨年米国で行われたある調査によると,約9割の人が電源オプションを利用していないとのことだ。そんな機能があることすら知らないという人も少なくなかったという。日本もこれと近い状況にあるのではないか」と山田氏は話し,電源オプションをぜひ活用してほしいと力説した。

勤務形態に合わせたきめ細かい省電力設定を

 クライアントPCの電源管理を社員一人ひとりに任せていたのでは,徹底することは難しい。そこでクオリティでは,同社が提供するクライアント管理ソフトQAW/QND Plusの機能を拡張し,クライアントPCの電源設定をシステム管理者が一元管理するソリューションを提供している。

 QAW/QND Plusには,PCの構成情報の把握,台帳化による一元管理,バージョンアップやセキュリティパッチ適用,利用制限,簡易的な検疫などの機能がある。これらに加え,インテルのvPro搭載PCとの連携ソリューションとして,システム管理者が遠隔操作でPCの電源をオフ/オフできるようにした。

 vProを搭載していないPCの場合,システム管理者がセキュリティパッチを適用したり,ソフトウエアをバージョンアップしたりする時には,社員にPCの電源をオンにしたまま帰宅してもらい,夜間に作業を行っていた。このためPCの電源はオンの状態での待機時間が長く,ムダな電力が消費されていたという。

 「これに対し,vProを搭載したPCであれば,社員がPCの電源をオフにして帰宅しても,QAW/QND Plusを使って強制的に電源をオンにできるので,待機時間がなくなり,ムダな電力消費をなくすことができる」と山田氏は導入効果について話す。「このソリューションを1000台のクライアントPCに適用すれば,月当たり約569kWh,214kgのCO2排出量を削減できる。年間の電気代は15万円ほど安くなる」と,山田氏は試算結果を示す。

 QAW/QND Plusには,Windowsの電源オプションをリモートで設定する機能もある。「11月にリリースした最新版のQAW/QND Plusでは,省電力ポリシーをよりきめ細かく設定できるようになった」と山田氏は強調する。

 例えば「ディスプレイの電源オフ」,「ハードディスクの電源オフ」,「システムスタンバイ」,「休止」の4つの省電力モードについて,それぞれ適用開始時間と適用終了時間,ユーザーが操作しなくなってから各モードに移行するまでの時間を設定可能。システム管理者は,会社の勤務形態に合った省電力ポリシーを適用できる。

 さらに電力消費量のレポート機能も追加した。全てのクライアントPCについて,フルパワー,通常,スタンバイ,休止のそれぞれの状態における消費電力を電力計で実測して基礎データとして登録。そのうえで,QAW/QND PlusがクライアントPCの稼働状況に関する情報を収集して電力消費量を見積もり,レポートを作成する。

 「ここで紹介した電源オプションの設定機能などを当社の顧客である3000社・300万クライアントすべてに適用すると,年間6万8370万トン以上のCO2排出量を削減できる」と山田氏は試算結果を示す。これだけのCO2をEUの排出権取引市場で調達すると約2億円になるという。同社は今後も省電力ソリューションの効果を「見える化」しながら,顧客への導入を進めていく。