Part1のC言語に続いて,Javaの始め方を説明します。Javaは,Java言語でプログラムを記述し,それをハードウエアから独立した中間言語のバイナリ・ファイルにコンパイルして,Java仮想マシンで実行するという,新しい考え方のシステムです。オブジェクト指向言語の代表的な存在とも言えます。Java SE Development Kit(JDK)をダウンロードして手軽に始めてみませんか?

 Javaでプログラミングをしようと思ったら,まず使ってみるべきは「Java SE Development Kit(JDK)」です。Javaには基本となる「Java Platform, Standard Edition (Java SE)」のほか,企業システム向けの「Java Platform, Enterprise Edition(Java EE)」,小型機器向けの「Java Platform, Micro Edition(Java ME)」などがあり,Java SE向けの開発キットのことを,特別にJDKと呼んでいます。

 JDKは,http://java.sun.com/でLinux版,Solaris版,Windows版を,http://developer.apple.com/java/でMacintosh版をダウンロードできるようになっています。このPart2では,x86(32ビット)Windows用のJDKをダウンロードしてプログラムを書く方法を説明します。

 JDKには,統合開発環境(IDE)の「NetBeans」が組み合わされたパッケージもあります。しかし,伝統的にJDKのメイン・パッケージはIDEがないコマンド・ベースのものなので,Part2では,IDEなしのJDKを使います。プログラムを書くテキスト・エディタを別途用意して読み進めてください。

 テキスト・エディタについては,もちろん,Part1で紹介したサクラエディタでOKです。Java開発に適したIDEとしては,Part3で「Eclipse」を紹介します。

バージョンを意識してダウンロード

 JDKをダウンロードするところから始めましょう。日本語のダウンロード・サイトにWebブラウザでアクセスすると,図1(a)のような画面が現れます。記事を執筆した2008年9月下旬には,「JDK 6 Update 7」(1.6.0_07)が最新でしたが,Update 10のベータ版も公開されていました。これからJavaを始めようという人は,基本的には,正式版の最も新しいものを使えばよいでしょう。

 今回は,図1の手順で,JDK 6 Update 7のx86 Windows版をダウンロードします。バージョン番号がどれであるかは意識しておいてください。後ほど,パス*1の設定をする際に必要になります。

図1●日本語の<a href="http://java.sun.com/javase/ja/6/download.html" target="_blank">Java SEダウンロード・ページ</a>から,JDKをダウンロードしよう
図1●日本語のJava SEダウンロード・ページから,JDKをダウンロードしよう
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 ダウンロードが完了したら,ダウンロードしたファイル(jdk-6u7-windows-i586-p.exe)を起動してください。「使用許諾契約」の画面で「同意する」ボタンを押し,「カスタムセットアップ」の画面では,インストール先のフォルダ名(標準設定ではC:\Program Files\java\jdk1.6.0_07)をメモして,「次へ」ボタンを押すとよいでしょう。「正常にインストールされました」という画面まで進めば成功です。

パスの設定と確認

 JDKを快適に使うためには,JDKに含まれるコマンドを簡単に呼び出せるように,パスの設定をしておくとよいでしょう。パスはオペレーティング・システムがプログラムを探す際の経路で,Windowsでは環境変数*2「Path」にその値が格納されています。

 今インストールしたJDKのコマンド群は,JDKをインストールしたフォルダの下にあるbinフォルダに入っています。その値を環境変数Pathに追加しましょう。Windowsのコントロールパネルで,「クラシック表示」→「システム」→「システムの詳細設定」と進んで図2左の画面を出し,「環境変数」ボタンを押して図2右の画面を出します。今回は,ユーザー環境変数に「Path」を追加し,その値として「C:\Program Files\java\jdk1.6.0_07\bin」を設定しました。ユーザー環境変数に追加した場合は,この設定はこのユーザーだけで有効になり,システム環境変数に追加した場合は,この設定はすべてのユーザーで有効になります。

図2●JDKのコマンドを呼び出しやすくするために,パスの設定をする。Windowsのコントロールパネルで,「クラシック表示」→「システム」→「システムの詳細設定」と進んで左の画面を出す
図2●JDKのコマンドを呼び出しやすくするために,パスの設定をする。Windowsのコントロールパネルで,「クラシック表示」→「システム」→「システムの詳細設定」と進んで左の画面を出す
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 「OK」ボタンを押して図2の二つの画面を閉じ,コマンドプロンプトを起動してみましょう。図3のようにPATHコマンドを実行し,パスの最後に,今インストールしたJDKのbinフォルダが追加されていることを確かめます。パスの設定ができているようなら,

 java -version

と入力してEnterキーを押し,Java仮想マシン(java.exe,javaコマンド)のバージョンを確かめてみましょう。図3の下側のように表示されれば成功です。javaコマンドを呼び出せない場合は,パスの設定が正しいかどうかを確認してください。異なるバージョンのjavaコマンドを呼び出してしまった場合は,パスの中に,異なるバージョンを指している部分がないかを確認してください。パスは先頭から順に探していくため,異なるバージョンを指している部分が前にあれば,そちらを呼び出してしまいます。

図3●パスが設定できているかどうかをWindowsのPATHコマンドで確認し,パスの文字列が合っているようなら,javaコマンドの動作を確認する
図3●パスが設定できているかどうかをWindowsのPATHコマンドで確認し,パスの文字列が合っているようなら,javaコマンドの動作を確認する
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