正解はB,C,Eです。
一般的に,冗長構成となっているスイッチネットワークでは,ループ防止のためSTPが使用されます(STPの基本的な動作については,「SkillUPメール2007年3月1日号の問題の解答」で復習しておきましょう)。
Catalystスイッチでは,デフォルトでVLANごとに業界標準である802.1D標準のSTPが有効となりますが,このSTPをそのまま使用した場合,コンバージェンスが遅いという問題が生じます。
これは,トポロジ変更を把握するまでの時間として最大20秒,リスニングおよびラーニング状態として各15秒が必要となるため,ネットワークで障害などが発生してから通信が復旧するまで30~50秒の時間が必要になるためで,この復旧時間はIP-Phoneなどが使用される近年のネットワークにおいて,許容できるコンバージェンス時間とは言えません。
このため,シスコは独自に802.1Dの拡張機能として,コンバージェンス時間の短縮を図る機能を,Catalystスイッチに追加しました。これがPort Fast,Uplink Fast,Backbone Fastの3つの拡張機能です。それぞれの機能について概要と,どのスイッチに設定すべき機能なのかを押さえておきましょう。
■Port Fast
Port FastとはSTPが有効になっているポートにおいて,リンクアップを高速化する機能で,アクセススイッチのユーザーPCを接続するポートに設定します(図1)。

Port Fastを使用しない場合,スイッチのポートにPCが接続されると,ポートはリスニング,ラーニング状態を経由してから,通信可能なフォワーディング状態に移行するため,通信できるようになるまで30秒程度の時間を必要とします。
ポートでPort Fastを有効化すると,リンクアップすると即座にフォワーディング状態に移行するため,PCなどを接続すると,1秒程度で通信が可能となります。
なお,STPが有効なスイッチ間を接続するポートにPort Fastを設定すると,本来ブロッキング状態となるべきポートがリンクアップし,ループトポロジーが形成されるため,ホストなどのエンドデバイスを接続するポートのみに設定を行う必要があります。
■Uplink Fast
Uplink Fastは,ブロッキングポートを持つアクセススイッチに設定する機能で,ルートブリッジへのアップリンク経路で障害が発生した場合,すばやくリンクを切り替える機能です(図2)。

Uplink Fastが有効になったスイッチで,リンクダウンなどによりルートブリッジからのBPDU(Bridge Protocol Data Unit)が途切れると,リスニング,ラーニング状態を経由せず,ブロッキングポートをルートポート(RP)に切り替えることで,障害時のダウンタイムを短縮することが可能となります。また,Uplink Fastによるフォワーディングポートの変更に伴い,各スイッチにおいてMACアドレスの再学習が必要となるため,ポートの切り替えと同時に,登録されているMACアドレスを送信元とするダミーのマルチキャストフレームを送信することで,学習時間の短縮を図ります。
なお,Uplink Fastを有効にしたスイッチでは,ブロッキングポートを作り出すために,スイッチのブリッジプライオリティおよびポートのパスコストが自動的に引き上げられます。このため,誤ってルートブリッジやDSW(ディストリビューションスイッチ)などにUplink Fastを設定すると,STPのトポロジが変わってしまう可能性があるため注意が必要です。