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2008/12/18

 今回は,注目されている「クラウド・コンピューティング」や「グリーンIT」について,また今後のパソコンへの影響や情報システム部門への影響について分析してみたい。

クラウド・コンピューティング

 クラウド・コンピューティングとは大規模なサーバー群を持っているユーザー企業やITベンダーが,別のユーザー企業にコンピュータ・リソースの一部を貸し出すことである。ある企業が,データセンターをビジネスとしてA社やB社にVMを提供していると見ると,それはクラウド・コンピューティングを提供していると言える。

 また,Yahooがサービスとしてメール機能を提供していること,Googleがサービスとして検索機能を提供していることも,ある種のコンピュータ資源を提供しているという広い意味ではクラウド・コンピューティングを提供していると言える。

 顧客がこうしたクラウド・コンピューティングを利用するために,顧客はネットワークを介してデータセンターにどうアクセスするのか解決する必要がある。YahooのメールやGoogleの検索の場合は,顧客はWebブラウザを立ち上げてそれぞれのURLを入力して利用する。つまり,顧客とデータセンターとはレイヤー3のHTTPプロトコルでネットワーク接続している。このため,これまでに話題となっているVMを提供するクラウド・コンピューティングも,レイヤー3でのHTTP接続を前提としているものが多い。

 しかし,前回までの記事で解説してきたように,レイヤー3では他の会社とコンピュータ資源を共有するのが難しい。また,自宅から会社のネットワークにアクセスするのも難しい。そこで,クラウド・コンピューティングを利用するためには,顧客とデータセンターをレイヤー2でつなぐことができるように,データセンター側でレイヤー2のための接続の口(ポート)を用意する必要がある。

 そのため,より柔軟性の高いプロジェクト進行を実現できるクラウド・コンピューティングを提供するには,顧客とインターネットとの接続において,これまでのネットワーク構成を変更し,レイヤー2のL2-VPN装置を組み入れることが必要になる。

グリーンIT

 グリーンITとは,電源使用量の少ないIT環境を整備することである。そのため,クラウド・コンピューティングが大きな役割を果たすと言われている。

 日立ソフトウェアエンジニアリングでは,「@Service24」という保守サポート用のサイトを運営している。顧客がソフトウエア製品を購入すると,このサイトのIDが提供される。ソフトウエア製品のインストール方法やベストプラクティス,バグ情報など,このIDで日立ソフトのエンジニアに問い合わせることができる。

 @Service24はこれまで,10台のPCサーバーで運用してきたが,ハードウエアの老朽化もあり,この8月に仮想化環境を構築し,2枚のブレード・サーバーで稼働する10個のVMにすべて引っ越した。また,これらのVMをつなぐネットワーク機器は,仮想化ソフトウエアの仮想ハブに置き換えた。これにより,設備購入費および運用コストは2割削減できた。

 また,これまで格納していた1ラック(42Uの容量)の占有スペースを実質6分の1の7Uに圧縮できた。この結果,総消費電力量を5割削減できた。このように,これまでの実環境を仮想化環境,クラウド・コンピューティングの環境に引っ越すだけで総消費電力量を大幅に削減できる。

 ほかにも,クラウド・コンピューティングでは多くの取り組みがされている。1つは,稼働しているVMをできるだけ少ない枚数のブレードに動的に移動して動かすことにより,VMが稼働していないブレードの電源を切るという取り組みである。すでに,VMware社ではVMotionという機能で,ユーザーに気づかれずに,あるVMを別のブレードに稼働したまま移動させることができる。このため,稼働するVMがなくなったブレードの電源を自動的に切る機能の提供が待たれている。

 一方,多くのVMでインストールされているWindowsのディスクイメージをできるだけ共有して,ストレージのディスク使用量を大幅に減らそうという取り組みもある。特に,自席のパソコンをすべてクラウド・コンピューティングのVMに引っ越した場合,そのデータセンターにはWindowsが入った大部分が同じディスクイメージが人数分格納されることになる。このディスクイメージをうまく共有することは,ストレージの大幅な削減につながり,グリーンITに大きく貢献できる。

パソコンのスペックは低くてよい

 筆者は,自分のデスクトップ環境を筆者が運営しているクラウド・コンピューティング(日立ソフトウェアエンジニアリングの「SecureOnline」)のVMに引っ越した。そして,自席のPCをWindowsからMacに変えた。MacからでもVMのWindowsにRDPでアクセスできるからである。また,筆者のグループで働くエンジニアの中には,5年前のパソコンにLinuxベースのRDPプログラムが入ったUSBキーを使って,やはりSecureOnlineのVMにログオンしている人がいる。この場合のパソコンは,メモリーが256MBしかいらない。5年前のパソコンで十分なのである。

 この2つの例は何を意味しているのだろうか。それは,パソコンはRDPを実装したクライアント・プログラムだけが動作すれば十分だということである。また,Citrix社のXenApp(旧Citrix Presentation Server)の通信プロトコルである「ICAプロトコル」を使っても同じことが言える。これにより,Windowsパソコンに加えて,Macや5年も前のPC,さらに今後はPDAやケータイでもよいかもしれない。クラウド・コンピューティングの登場は,これまで十分にCPUやメモリーがないとまともに動かないWindows環境から,全く新しい端末環境に様変わりさせる可能性がある。

>>2種類のインフラ・チームが必要
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