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真髄を語る

日本企業は「設計思想が主、戦略が従」

2008/11/17 ITpro

上武大学大学院経営管理研究科教授
池田 信夫

 インターネットによって世の中が変化しようとも、ものづくりに強い日本企業は“デジタル家電”の領域で主導権をとれる、という見方が数年前にあった。しかし2008年末の世界の状況を見る限り、日本がインターネット関連機器やサービスのリーダーとは言い難い。改めて戦略を考え直すにあたり、製品アーキテクチャー(設計思想)の選択に視点をあてた池田信夫氏の論考を紹介する。本稿は『アーキテクチャーは戦略に従う~DRAMに学ぶデジタル家電への教訓』と題して、日経ビズテック誌2004年12月20日号に掲載された。
 池田氏は「一つの技術を育てていく段階では技術を微調整できる『擦り合わせ型』アーキテクチャーが意味を持つが、技術が成熟すると低コストな『モジュラー(組み合わせ)型』の代替技術が必ず登場する。従って、両方を戦略オプションとして持つ必要がある」と指摘していた。この指摘は4年後の現在も有効である。技術が成熟すると過剰が発生し破壊が起きるメカニズムについては池田氏の著書『過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?』を参考にして頂きたい。(「経営とIT新潮流」編集部)

 かつてアルフレッド・チャンドラーは「組織は戦略に従う」と述べた。これは事業部制などの組織形態が長期的な戦略によって決まるという事実の記述であるとともに、組織は戦略と整合的でないとうまく機能しないという組織論でもある。

 ところが日本の企業では「戦略が組織に従う」ことが多い。「余剰人員を多角化で吸収しよう」とか、「総合電機メーカーだから不採算部門といえども撤退できない」といった意思決定は企業価値を破壊し、結局は雇用の維持も困難にしてしまう。

 情報通信産業においては、人的な組織よりも「技術の組織」が重要である。技術の組織とは、どのような技術を選び、どう組み合わせていくか、ということである。これをアーキテクチャーと呼ぶ。

 アーキテクチャーを巡っても「戦略が(日本得意の)アーキテクチャーに従う」という考えが見られる。例えば、デジタル家電を巡って「日本はモジュラー(組み合わせ)型の製品は得意ではない。設計の微調整が効く擦り合わせ型の製品で勝負すべきだ」という議論がある。

 擦り合わせのノウハウを競合会社に見せないために、「組織を垂直統合型にして技術をブラックボックスにする」という意見も目立つ。パソコンに代表される、モジュラー型で水平分業が可能な、オープン・アーキテクチャーの世界で利益を上げられなかった反省ともとれる。

 こういう「戦略がアーキテクチャーに従う」という考え方は、そう新しいものではない。かつての通産省は「コンピュータの世界市場はIBMが支配しているので、日本は『ものづくり』技術の生かせる半導体で勝負しよう」という方針を出した。

 この方針のもと、日本メーカーはVLSI(大規模集積回路)の開発組合を作り、1980年代にDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の分野で華々しい成功を収め、世界の生産高の80%を占めるに至った。

 しかし、90年代に半導体製造技術がアジア諸国に拡散し、技術がモジュラー型になるにつれ、日本メーカーは競争力を失った。今日では国内でDRAMを生産しているのはNECと日立製作所が出資するエルピーダメモリただ一社になってしまった。

 なぜこういうことになったのか。日本メーカーが一つの戦略オプションしか持っていなかったからだ。確かに一つの技術を育てていく段階では日本の得意とする擦り合わせや改善が意味を持つ。だが、その技術が成熟すると、低コストな代替技術が登場し、日本の優位が失われるのである。

 「日本の将来を担う」と囃されているデジタル家電も、その中身は半導体そのものであり、戦略オプションを用意しておかないと、DRAMの轍を踏む懸念がある。ここではコンピュータや半導体の歴史を振り返り、その教訓を学ぶ。

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