IPv4アドレスが「枯渇する」というのは,インターネットにつながる機器に新規に割り当て可能なIPv4アドレスがなくなってしまうことです。

 IPv4アドレスはインターネットの“住所”を示す情報で,インターネットにつながる機器は,それぞれが異なるIPv4アドレスを持つことで,インターネット上で相手を間違うことなくデータをやりとりできるようになります。IPv4アドレスは32ビットの値で,その総数は42億9496万7296個(2の32乗個)です。

 これらのアドレスは,重なって割り当てられることがないように管理されています。世界中のIPv4アドレスを統括し,管理しているのは,ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)と呼ばれる組織です。このICANNが,世界の各地域を統括する五つの地域インターネット・レジストリ(RIR:地域インターネット・レジストリ)に未分配のIPv4アドレスを割り振ります。アジア太平洋地域は,APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)の担当になります。

 日本の場合はさらに,APNICに分配されたIPv4アドレスが国別のインターネット・レジストリであるJPNIC(日本ネットワークインフォメーション・センター)に割り振られ,国内のプロバイダなどを経由してエンド・ユーザーに割り当てられる流れになっています。

 IPv4アドレスの枯渇というのは,この未分配のIPv4アドレスの在庫がなくなり,IPv4アドレスを配下の組織に新規に割り振れなくなることです。

 IPv4アドレスの総数である43億個は,一見すると多そうに見えます。しかし,現在のインターネットの普及度合いや規模を考えると決して多い数とは言えません。例えば,世界中の人口は約70億人です。一人に1個のIPアドレスを配ることさえできません。こうした事情を考えると,43億個のIPアドレスでは足りなくなるのは明らかで,いよいよその枯渇が現実のものになろうとしているわけです。