日本興亜損害保険の山脇逸雄IT企画部長

 日本興亜損害保険においてCIO(最高情報責任者)の役割を担う山脇逸雄IT企画部長は、2006年4月就任以来、社員の生産性向上にこだわってきた。全社を挙げての品質向上運動に沿って取り組んでいる。「日本はOECD(経済協力開発機構)に加盟している先進7カ国の中で労働生産性が最下位」と報じた新聞記事を数年前に目にしてショックを受けたことも影響しているという。「悔しいでしょ。本当に最下位なら同業他社を見ても仕方が無い。カイゼン活動が得意なメーカーから学んでいかねば」と意欲を燃やす。

 2008年6月に全国300カ所の拠点にウェブ会議システムを導入したのも、生産性を高める施策の1つ。「従来もテレビ会議システムはあったが、利用するのは主に支店長レベルだった。今では離れた拠点にいる担当者同士が活発に打ち合わせできるようになった」。初期投資に1億1000万円投じたが、出張旅費の削減に効果が出ているという。ほかにもメールシステムを刷新に取り組んだ。

 最近は社員のIT(情報技術)リテラシーを上げていく必要を感じている。「例えば、パソコンにスケジューラー機能が搭載されていてもほかの社員の予定の見方が分からない社員はまず電話してしまう。スケジューラーで確認すればその社員が外出中とすぐ分かることもある。ささいな機能でも知っていると知らないでは生産性に大きな違いが生まれる」と話す。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・実績と将来の予測をきっちり分けて説明します。「ドッグイヤー」と言うぐらいですから来年のことなど分かりません。予測が困難な技術動向についてはあらゆる可能性を話しておかないといけません。そのうえで自分の見解を述べます

◆ITベンダーに対し強く要望したいこと、IT業界への不満など
・技術やサイエンスに対する好奇心が減っているように思います。自社製品に対する愛着も薄くなっているように感じます。自社開発ではなく米国発の製品や技術だと愛情や自信を持って売りにくいのでしょうか。もっと製品や技術に好奇心や愛着を持ってほしいですね

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞

◆最近読んだお薦めの本
・『秘密』(東野圭吾、文藝春秋)
・『翔ぶが如く』(司馬遼太郎、文藝春秋)

グループ会社のそんぽ24損害保険(東京・豊島区)で人事担当役員を務めていましたから、コーチング関連の書籍を読むことが多かったです。最近になって再び小説を読むようになりました。昔は小説家を志していたことも…

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
日経BPネット
Winny個人情報流出まとめ

個人サイトと思いますが、よくできています。社内で情報漏えいに関するセミナーの講師も務めますので、月に一度くらいチェックしています

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・ITベンダーのユーザー会に顔を出す程度です。定期的に通っているものはありません

◆ストレス解消法
・1990年代中ごろまでの海外製のパソコンゲームです。戦略シミュレーションゲームを楽しむことが多いですが、当時のゲームはグラフィックスが今ほど進化していない分、大人でも楽しめるほど凝った知的な作りになっています