データセンターのラックにおいて,上下のサーバーの間にすき間を空けて設置しているのを見かけることがある。すき間を空けることで風通しをよくして,サーバーに熱がこもりにくくなるようにする意図だろう。この方法は一見もっともらしいが,実はデータセンターのラックでやってはいけない。

 サーバーは前面から冷気を吸い,背面から熱気を排出する。すき間を空けることこの流れが変わってしまう。の左部分を見てほしい。これはサーバーの間にすき間を空けた場合に,空気がどう流れるかを表したものだ。背面に排出された熱気が前面に循環してしまっている。サーバーはこの熱気を前面から吸気するため,サーバーに冷気が流れない。つまり冷却できないことになる。この循環が続くと,いずれは熱暴走を起こす危険もあり得る。

図●ブランクパネルの効果
図●ブランクパネルの効果

 熱気の循環を防ぐのに有効なのがブランク・パネルを使うことだ。ブランク・パネルとは,ラックのすき間に取り付けるパネルのことだ。これを使ってサーバー間のすき間を埋めることで,サーバーの排熱が循環してもブランク・パネルが遮って,サーバーの前面までは到達できないようになる(図1の右部分)。ラック前面には常に冷気が供給され,熱暴走の防止になる。非常に単純なことではあるが,これだけでもサーバーへ供給する空気温度に最大で12℃の差が生じることもある。

エーピーシー・ジャパン(APC) ソリューション事業部 セールスエンジニアリング/ビジネスデベロップメント
 UPSや冷却装置,ラック,環境監視システムを提供するAPCにおいて,データセンターで利用する製品の提案や設計,販売を推進している事業部。ラックの設置や運用ノウハウを持ったメンバーが多く所属している